生活保護の母子加算減額・廃止をめぐる違憲訴訟で、昨年末に母子加算が復活し、原告団(12人)と国が基本合意(1日)したことを受け、京都地裁に提訴していた辰井絹恵さん(47)=山科区=が2日、訴えを取り下げました。辰井さんは、今回の結果を歓迎するとともに、老齢加算復活のために闘い抜く決意を新たにしました。
 辰井さんは、長男(19)と2人暮らし。03年に乳がんの手術を受け、その後も体調が不良で働けず、生活保護を受給。月2万3000円あった母子加算が05年4月から、段階的に減らされ、昨年4月にゼロになったことから、06年7月に提訴しました。昨年12月の京都地裁判決で、訴えは棄却され、控訴していました。今月1日、原告団と厚労省との間で、母子加算は今後十分な調査や根拠がないまま廃止しないとの合意書が締結されました。
 一方、母子加算とともに廃止取消の訴訟が行われてきた老齢加算について、国は復活を拒否。京都での訴訟は、辰井さんと同様一審で敗訴したため、控訴中です。
 辰井さんは、「息子は19歳になり、母子加算の対象外ですが、多くの苦しい生活を送る母子家庭のために、心から良かったと思います。母子加算も老齢加算も両方あってこそ、憲法25条の最低限度の生活が保障されます。老齢加算復活のため、今後も頑張りたい」と話しています。