防災を考える市民の会(志岐常正代表)は2月27日、宇治市の市職員会館で会結成10周年の集いを開き、琵琶湖沿岸の浸水被害の低減を目的として放流能力を増強する天ケ瀬ダム(宇治市)の再開発による防災や環境の問題について意見を深めました。市民など30人が集まりました。
 奥西一夫国土問題研究会理事長(京都大学名誉教授)と軽部大蔵神戸大学名誉教授が記念講演。奥西氏は、ダムはもともと人口的に水位を急激に増減させるため、「大きな利益をもたらす反面、地すべりなどの災害がおきやすく、大変危険」と指摘。天ケ瀬ダム再開発について、「地すべりがおきやすい地域でつくられており、危険。短期的な利益を考えて開発がすすめられており、もっと防災を考えた慎重な判断が必要」と批判しました。
 軽部氏は、地質調査に基づいて、宇治川の堤防が放流の増加による水位上昇に耐えられず、決壊するおそれがあると報告。宇治市内の旧小倉池の地域は地盤がゆるく、地震の際に激しくゆれる可能性があると指摘し、「現在でも雨天の日などは堤防の内側に河川の水が染み出す現象が見られる。地震がおこれば、確実に堤防が決壊してダムの水が市街地に流れるおそれがあり、開発は中止すべき」と訴えました。
 志岐代表は、「宇治川沿岸には市民に親しまれている桜の名所もある。市民の生活を守るために、天ケ瀬ダムの問題を訴えていこう」と呼びかけました。