「地元医師と考える京都の医療 京都南部の医療を考えるシンポジウム」(同実行委員会主催)が28日、宇治市の宇治市産業会館で開かれ、150人が参加しました。京都民医連第二中央病院の門祐輔院長や宇治徳洲会病院の末吉敦副院長らをパネリストに迎え、参加者とともに府南部(宇治市以南の山城北・南の両医療圏)の医療問題について考えました。
 同シンポジウムの実行委員長をつとめた、あさくら診療所の河本一成所長は、「府南部の医療圏で、医師数や病院数が京都府や全国平均を下回る状態です。このように大変な状況ですが、パネリストの方やみなさんと府南部の医療問題について考えていきたいと思います」とあいさつしました。
 
 京都民医連第二中央病院の門院長は、日本の医療制度が世界の先進国と比較して、患者負担が高く、医療への予算がGDP費の8%と最低レベルであるなど多くの問題を抱えていることを報告。府南部地域は医師数が少ない中、小児科や産科などの救急医療の一部を私立病院に依拠するなど、私立病院が中心になっていることを指摘し、「公的病院、大学病院、私立病院、医師会が連携し、どこの病院がどういう医療ができるのかを整理するべき。京都府全体で住民の命を支えるシステムを作ることが重要」と述べました。
 宇治徳洲会病院の末吉副院長は、同病院が府南部で最多の救急患者を受け入れ、府南部全体から奈良県・大阪府までの救急医療を担っていることを紹介。その中で医師への負担が重くなり、労働環境が厳しくなっている実情などを報告し、「すべての患者を助けたいという理念のもと、医師が懸命に頑張っています。国の救急医療制度の矛盾や患者とのトラブルなど、多くの問題を現場は抱えています」と語りました。
 京都社会保障推進協議会の高松英祥事務局次長は、府南部では人口比の医師数が全国平均よりも少なく、城陽市で産科がなくなり、南部全体で産科が減少していることなど、南部地域の医師不足問題について報告しました。
 同シンポには、かつき診療所の香月昭人所長、沢井内科医院の澤井公和院長が医療問題ついてのメッセージを寄せました。
 参加者から医療問題についての質問や意見が出され、パネリストが応じました。