療養病床再編の問題点や高齢者の医療・介護の課題を考えるフォーラムが8日、京都市中京区の京都府医師会館で行われ、約300人が参加しました。京都私立病院協会、京都療養病床協会が共催。
 昨年成立した医療制度改革関連法により、療養病床再編計画が進められると、府内では、医療療養病床は2811床(06年10月)が1977床+αに、介護療養病床が3969床(同)が全廃。約4800人が行き場を失う、医療・介護難民となる恐れがあります。
 基調講演を行った共同通信社編集委員の楢原多計志氏は再編の背景に医療費を抑制したい国(財務省)の思惑があるとのべ、介護力が落ちている在宅や老人保健施設のいずれも再編後の「受け皿」とするのは現実的でないと指摘しました。
 シンポでは、出射靖夫・京都回生病院理事長が「今後高齢化社会が進む中で、療養病床は削減どころかもっと増やさないといけない」と指摘。また「受け皿」とされる在宅医療を担当する診療所の立場からは、「病院のバックアップなしに在宅療養は成り立たないし、減らす発想はありえない」(北川靖・北川内科医院院長)など削減方針への批判が相次ぎました。
 最後に、京都私立病院協会会長の清水紘氏(嵯峨野病院理事長)は、「自分の親に『長生きしてごめんね』と言わせないシステムが必要。現時点で安心の2文字を提供できるのは療養病床ではないか」と話しました。