故松岡利勝前農水相らの巨額「事務所費」疑惑などで「政治とカネ」をめぐる国民の不信が広がる中、日本共産党の井上さとし参院議員は28日、参院政治倫理・選挙特別委員会で、自民・公明両党が提案している政治資金規正法「改正」案について、所管大臣の菅総務相らの政治団体を例にあげ、領収書添付義務付けの対象が支出5万円以上では実態に合わず、「政治資金の使途の透明化にはつながらない。まったくのザル法」と指摘しました。
 自民・公明両党の「改正」案は、政治資金収支報告書の人件費を除く経常経費の領収書添付義務付けを現行の政治活動費(組織活動費など)と同じ5万円以上にしているほか、対象を資金管理団体に限定しています。
 井上議員は、政治資金を管轄する菅総務相の資金管理団体「横浜政経懇話会」を取り上げ、同会の収支報告書(03年―05年)で「組織活動費」のうち、支出が5万円以上で支出先を明らかにしているものが6件しかなく、「透明度」(支出総額に占める5万円以上の支出の割合)は0%―15・9%と指摘。組織活動費の中心を占める、「渉外費・交際費」は総額が約400万円―約500万円ありながら、すべて1件5万円未満で、透明度「ゼロ」であることを問いただしました。
 菅総務相は、「事実に即して届出している」と答えましたが、井上議員は、「事実に即して届出されても、(5万円以上が対象では)使途が明らかにならない。法改正によって、政治資金の使途の透明化にはつながらない」と強調。さらに、与党案提出者、賛成者のうち、自民・後藤茂之、公明・佐藤茂樹両衆院議員の資金管理団体の組織活動費(05年)が領収書を必要とする5万円以上の支出がゼロであることを示し、「いかに実態に合わないかを示している。国民の不信は解消できない」とのべました。
 また、与党案提出者の自民・東順治衆院議員の資金管理団体が、同議員が支部長を務める選挙区支部と同一の事務所にあり、政治資金パーティーを開催するなど政治活動を行っているにもかかわらず、人件費や事務所費、光熱水費がゼロとなっていることをあげ、「資金管理団体に対象を限定しても、選挙区支部と支出の付け替えもできる。与党案はまったくザル法だ」と指摘しました。