立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)の日本語常勤講師が大学側の約束に反し、雇い止めされた問題で、京都総評、京滋私大教連、立命大教職員組合、大分県労連、大分地域労組の5者がつくる実行委員会は12日、同常勤講師の「雇い止め」問題を考え、支援する集いを京都市下京区の京都私学会館で開きました。集会は、常勤講師の利益を尊重し、早期解決するよう求める「集会決議」を採択しました。
 この常勤講師は、98年に雇用契約を締結。99年10月に他の日本語常勤講師とともに京都に集められ、大学側から「任期はあるが、本人が望めば60歳の定年まで更新できる」「どうぞ定年まで働いてください」との説明を受けたにもかかわらず、06年3月末で解雇されたもの。地位保全の仮処分の申し立てをし、最高裁に特別抗告中です。
 集会では、大分県労連の後藤利光議長のあいさつのあと、京都総評の岩橋祐治議長と立命大教職員組合の稲葉和夫執行委員長が「有期雇用、大学のあり方の問題を重視して京都におけるたたいをつくる」(岩橋氏)、「非正規職員とも共同し、納得のいく解決ができるよう支援したい」(稲葉氏)とのべました。大分地域労組の池本和之委員長は、経過説明の中で「大分県地労委の労働委員は、あっせんに対して『検討の余地』さえ見せない大学側の姿勢に驚きの声をあげた。大学改革のトップランナーが、弱いものにしわ寄せする形で大学の危機を乗り越えることは許されない。建学の精神で臨むならわれわれは努力を惜しまない」と訴えました。
 常勤講師は、「定年まで働ける」と聞いていたからこそ、98年の雇用契約から02年の任用までの4年間、無給で待ち続け、就職後も授業以外の留学生の生活の相談、教材研究などの業務をこなしてきたとして、「裁判で争っているのは私1人だが、大学の説明を信じて人生設計を大きく狂わされ、APU開学や定着への多大な貢献も踏みにじられて去った人たちがいる。その人たちの分までがんばりたい」と訴えました。
 参加した労働法の脇田滋龍谷大学教授は、「元立命大総長の末川(博)先生の講演を聞いたことがあり、先生は『長いものにまかれたり、弱いものをいじめるような法律家にだけはなるな』と話された。その言葉を肝に命じて生きてきたが、その末川先生がおられた立命館大学で、こんなことが起こっているとは、裏切られた感じだ。法律うんぬんよりも、こんなことをすることが人間としてどうなのかという問題だ」と語りました。


 立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)の日本語常勤講師が大学側の約束に反し、雇い止めされた問題で、「APU常勤講師の裁判闘争を支援し、職場復帰を勝ち取る会」は入会を呼びかけています。
 年会費は団体1口3000円、個人1口1000円。氏名(団体名)、年会費(額)、住所、電話番号、携帯電話番号、FAⅩ番号、Eメールアドレスなどを明記のこと。入会金の振込み先は、郵便振替口座(口座記号番号「01790-7-45188」、口座名義「APU常勤講師を支援する会)。
 問い合わせ先〒870-0932大分県大分市東浜1-4-10大分県労連内。TEL097・556・3420、FAX097・556・6551。