「防災を考える市民の会」(代表・志岐常正京大名誉教授)が、阪神大震災から11年目の17日、宇治市内で「地震・住宅シンポ」を開き32人が参加しました。
 シンポでは、中島晃・弁護士、永谷芳郎・日本建築構造設計事務所連合会事務局長、井原貞次・京建労宇治支部長がパネラーで報告し、会場からの質問に答えました。
 中島弁護士は、「マンション偽装問題の実態と被害者救済」をテーマに報告。偽装問題を引きおこした要因として建築確認の民間開放をあげ、自治体の場合、情報公開や議会の監視により一定程度の透明性が確保されているが、民間の場合、企業秘密を口実にした透明性の欠如があると指摘。今後、課題として、マンションラッシュを招いた規制緩和策の是正、「環境と安全」の分野に規制緩和と市場原理を持ち込む誤りの是正を強調しました。
 構造事務所の社長でもある永谷氏は、耐震性向上のための方策として、「構造設計者のプロフェッション確立」「ピアーチェックの実施と普及」「新築・既存とも構造性能情報の公開」などを指摘。マンション購入時に設計者や下請け企業を明らかにさせるなど「賢い消費者、購入者」になることが大切と強調しました。
 井原氏は、安全な建設を第一に仕事をしてきた建築労働者として、今回の偽装事件に憤りを感じていると述べました。
 会場から、今回の偽装事件は氷山の一角ではないかなど質問がだされました。(谷上晴彦)