【参院選2025】自民農政はコメ作りの基盤崩した/府内のコメ農家警鐘「農政転換しなければ主食の危機さらに」

昨年来、主食であるコメがスーパーなどで入手困難となる、コメ不足が起きています。コメ不足により販売価格も前年の2倍以上に高騰し、暮らしを直撃しています。深刻な事態をもたらしているコメ不足の要因は、歴代の自民党政権の農政のもと、コメ農家とコメの生産量が減少を続けてきたことにあります。府内のコメ農家からは、これまでの農政を転換しなければ、農家・生産量の減少に歯止めがかからず、主食の危機がより深刻化するという声が上がります。
自民党農政のもと、2000年から24年までに、コメ農家は3分の1以下に減少。23年6月末から1年間のコメの需要量705万トンに対し、23年産米の生産量は661万トンに留まりました。
「政府は消費者目線の議論ばかりで、コメ農家のことを考えているのか」。亀岡市の中部、保津川に沿って周囲に水田が広がる同市河原林町のコメ農家・関成和さん(78)は語気を強めます。
コメ不足を巡る政府の動向が、店頭での販売価格に終始していると語り、「肝心のコメ不足を打開するため、生産者の立場に立ち、何が必要かという議論こそ求められている」と強調します。
自民党政権は1995年に、米価を下支えしてきた食糧管理法を廃止し、コメの価格や流通に対する国の関与を放棄し、実質的に市場任せにしてきました。市場での競争にさらされ、米価は低く抑えられてきました。
市場任せで低米価続く
また、2018年にはコメ農家への所得補償(10アールあたり1万5000円)を全廃し、農家から年間約1500億円の所得を奪いました。
こうしたもと、コメ農家の時給が2年連続(21、22年)で10円という状況に陥っています。京都農協のコメ農家からの30キロあたりの買取価格(コシヒカリ)はこの間、6000円前後でした(24年産は9000円)。一方、農林水産省の統計では、近畿地方の30キロあたりのコメ生産費用は約1万円前後で、平均すると生産費に届かない低米価となっています。
自民党を応援してきたという伊根町のコメ農家は「収入を時給換算すると最賃の3分の2ぐらいではないか。普通に暮らそうと思ったら30キロ1万5000円はほしい。この間、肥料、農薬など資材は高騰して経費は増えているが、米価はほとんど上がってこなかった」と話します。
舞鶴市西部、中山間地域のコメ農家の男性は、「1万2000円でプラスマイナスゼロという感覚。野菜も栽培しているから成り立っている」と現状を語ります。
コメの生産費は、平地に比べて水田面積の小さい中山間地域では、より高くなる傾向があります。京都府によると府内の水田の約6割は中山間地域です。
与謝野町東部の山間部に小規模な棚田が並ぶ同町石川でコメ作りをしている杉本保さん(68)は、「機械の更新がある年はたちまち赤字になる。年金や前職の退職時のたくわえがあるからコメ作りができている。中山間は田んぼに大型機械は入らないし、草刈りの手間も大きい、お金も時間も労力もかかるもの。体力がもつ限り、そして経済的に限界に達しない限りは続けたいが」と語ります。
低米価とともに、減反を押し付けてきた自民党農政のもと、担い手不足は深刻です。舞鶴市の農業委員の男性は、「減反で『作りたくても作れない』という状況を生み、生計が立つ見込みもなく親が子に『後を継いでほしい』とも言えず、農家の減少と担い手不足という生産基盤の弱体化を招いた」と指摘します。
与謝野町の杉本さんは、「地域のコメ農家は14人で自分を含め60代以下は5人。10年後には私も78歳、最も若手で60代です。果たしてどうなっているのか」と憂います。
前出の舞鶴市農業委員の男性は、同委員会で5年後の水田の状況に関して調査をしたところ、6割のコメ農家が水田を維持できているか「分からない」と回答したと言います。
舞鶴市の農業委員「市場任せでは駄目と証明された。価格保障と所得補償という共産党の主張が正しかった」
コメ作りを巡る深刻な事態の打開策として日本共産党は、再生産可能な米価の価格保障。コメ農家の所得補償を掲げています。緊急の対策として、生産に要した経費と勤労者並みの労働報酬を保障する米価と市場価格の差額を補てんする価格保障(当面、60キロあたり最低2万円~2万数千円、条件不利地域には加算)を参院選公約に掲げています。
前出の舞鶴市西部のコメ農家は、「農家が報われる米価を実現してほしい。これまで自民党は市場の競争のもと米価が下がっても、上げようともしてこなかった」と訴えます。
舞鶴市農業委員の男性も、「市場任せでは、農家が展望を持って続けていける米価にならないことは、この30年で証明された。共産党が主張してきた公的な支援を強め、価格保障と所得補償を行うという方向が正しかったと感じている」と語ります。