和紙に藍色を表現した会誌の表紙

 「藍染めは誰でもできる」を合言葉に、藍の栽培から作品作りを通して、「由良川藍」の伝承と普及に取り組む福知山市の「福知山藍同好会」が、発足25周年を迎え、このほど、会誌「藍をはぐくむ」第17号(A4判、170㌻)を記念号として発行しました。

 同会は、塩見敏治会長(87)=日本共産党元市議=が中心となり、1982年に地元老人会有志で由良川藍を60年ぶりに復活させたことを発端に、95年に発足しました。

 昨年が四半世紀の節目の年でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、回を重ねてきた会員の作品展、普及・販売の「由良川藍まつり」の開催を断念。2年連続で中止となった今年、活動の記録を7年ぶりに会誌にまとめました。

 今号には、由良川藍の復活から藍を文化として広げ、まちおこしや国内外での交流に実った経験を紹介。会員の創作活動の歩み、福知山の伝統文化である丹後二俣(ふたまた)和紙と丹波漆、藍の3団体の共同で技術継承・発展をめざす取り組みなどが、写真やメッセージで収められています。

 特徴は、塩見会長が、資料や文献で収集した、由良川藍の栽培史、染型の文様など、藍染めに関する研究資料を冊子の半量を割いて一挙掲載していること。まとまった文献を望む新規会員からの要望で再掲しました。

 藍の染色技法は、一般に公開されにくい傾向にあるなか、種の無料配布、栽培や染料作りを公開し、積極的に普及してきた同会の活動は、郷土史家からも評価されています。保育所や学校でも藍作りを通した教育実践が広がっています。

 記念号発刊にあたっての巻頭で塩見氏は、「過去からも学んで、新しい藍と藍の文化の創造を」と述べ、自然と環境を守る藍の輪を広げること、「『由良川藍』が福知山の伝統文化、工芸として次の世代に引きつがれる事を切に願う」と記しています。

 冊子の表紙に和紙を用い、藍色にこだわった仕上げ。竹筆書道家の門長竹斎氏が題字を提供しています。

 冊子は200部作成。希望者には頒布します(有料)。連絡先は、福知山藍同好会℡0773・23・6415。