阪神・淡路大震災から20年、災害から命を守るため京都府内に防災士会を立ち上げようと呼びかけている人がいます。全国で同会支部がないのは、京都府、愛媛県、沖縄県だけ。地震の活動期に入り、いつ起こってもおかしくない災害に備えるため、小学校単位の自主防災会で避難や救助などの知識、技術を身につけてほしいと各地の学習会や講習会へ手弁当で出かけています。

毎月1回以上工夫も重ねて

防災寺子屋京都にも大地震はあったことを示す太田氏

 防災寺子屋・京都の太田こう代表(52)=不動産管理会社社長=。NPO日本防災士会に加盟する防災士です。寺子屋は2010年に立ち上げ、中京区朱八学区の自主防災会で活動しています。大学や小中学校、自治会をはじめ、地蔵盆、防災イベントなどで毎月1回以上、地震発生の仕組みや被害、災害時にできる救助の知識や技術を分かりやすく伝えています。
 「千年の都・京都には地震は来ない」と思っている人に対しては、文政京都地震(1830年)時の被害を描いた古文書を拡大コピーして見せたり、マグニチュードの説明では「M6が牛乳瓶ならM8はドラム缶」と模型も作って可視化。小学生には紙芝居、高齢者や大学生らにも分かりやすいよう「帰宅難民10カ条」を作るなど、工夫を欠かしません。

正しい知識で救える命ある

地蔵盆で防災紙芝居を披露する太田氏地蔵盆で防災紙芝居を披露する太田氏

 きっかけは阪神・淡路大震災です。結婚後に移り住んだ西宮で被災。倒壊家屋の前で泣き叫ぶ女の子や高校生の亡きがらは今でも脳裏に焼き付いています。実家の京都に戻り、災害に備える勉強がしたいと01年、NPO法人日本防災士会の防災士(民間資格)を取得しました。
 現在、府内には24人の防災士がいます。20人で支部結成ができることから、太田さんが呼びかけ、4月に設立総会を開く準備を進めています。太田さんは「災害が起きても防災への正しい知識や備えがあれば救える命がある。基本は住民の意識です。各小学校区の自主防災会のスキルをアップし、京都では『阪神』や『東日本』の悲劇を繰り返さない」と話しています。
 問い合わせTEL075・841・0839/FAX075・841・3335(防災寺子屋・京都)。

NPO法人日本防災士会 防災士の資格を有する有志で構成。会員数は約6千人。地域の防災活動や防災活動計画の策定・実施に関し、指導的役割を果たすことを目指している。