「東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット」(略称・にっこりネット)の7月例会が18日、京都市中京区のハートピア京都で行われ、「専門家がわかりやすく解明 横田めぐさんのDNA鑑定は科学的か?」と題して、京都工芸繊維大学名誉教授・生物生命人間研究事務所代表の宗川吉汪(そうかわ・よしひろ)さんが講演しました。
 約60人の参加者を前に宗川氏は、めぐみさんの遺骨DNA鑑定問題の経過を簡単に説明したあと、DNAによる個人鑑定のやり方を図に書いて説明。問題の帝京大鑑定は通常の核DNAではなく、ミトコンドリア(核1個に対して数百個ある)DNAを使用したこと、それを100万倍に増幅するPCR法で検出したことを明らかにしました。
 そして、この手法でのDNA鑑定は厳密な注意が必要であるため、鑑定を適切に実施するための基本事項を決めた、日本DNA多型学会DNA鑑定検討委員会の「DNA鑑定についての指針1997年」(以下「指針」と略す)の内容を説明。指針が求めている「再鑑定のための資料の保存」「保存が不可能な場合は、客観的に説明できる詳細に記録した鑑定ノートを開示するべきである」「コンタミネーションを否定できる根拠を明らかにしなければならない」などが満たされておらず、鑑定は成立していない、とのべました。
 このことを取材で突きとめた専門誌ネイチャーの4回にわたる報道を紹介。ニセ遺骨と主張する日本政府は「鑑定が確実だとする証拠を提出するか、鑑定は確実ではなかったと認めなくてはならない」と指摘している、とのべました。
 宗川氏は、今回の鑑定の問題点として(1)土葬された遺体の細胞は土壌微生物によって分解される(2)遺骨を高温で処理すれば細胞は燃焼する(3)汚染DNAが遺骨に付着した可能性が高い─と指摘。結論として、今回の遺骨資料からDNAが検出された場合、その中にめぐみさんのDNAと一致するものがない限り、鑑定が成立したとは言えない、と締めくくりました。(加藤正信)