京田辺市議会は29日の最終本会議で、日本共産党などが提案した「大飯原発3・4号機の再稼動について慎重な対応を求める意見書」を全会一致で可決しました。
 同意見書は、「本市は大飯原発から約80キロの位置にあるが、福島第一原発事故と同等の事故が発生した場合には重大な被害が発生することが予想され、市民の不安は強いものがある。よって、政府においては、停止中の原発の運転再開を拙速に進めず、下記の事項について実現するよう強く要望する」として、「再稼動に係る審議は、福島第一原発事故の原因と実態が徹底的に解明され、その科学的知見を反映した新たな安全基準が示されたうえで、慎重に行うこと」など6点を求めています。


大飯原発3・4号機の再稼動について慎重な対応を求める意見書
 東京電力福島第一原子力発電所で炉心溶融が起こり、放射性物質が広く拡散し、土壌、農作物などあらゆるものが放射能汚染を受けた。多くの住民や原発作業員が被曝し、人々が避難を余儀なくされ今なお帰還が困難な状況にある。事故はいまだ収束に程遠く、事故原因究明と解明は行われていない。
 そのようなもと、原子力安全・保安院は、大飯原発3・4号機のストレステスト一次評価を妥当とする審査書を原子力安全委員会へ提出した。
 ストレステストは、どの程度の地震や津波に耐えられるかという机上の計算でしかなく、安全性の保証にはならない。枝野経産相も「ストレステストをやったから安全性が確認されているわけではない」と述べ、ストレステストが安全の根拠にならないことを認め、原子力安全委員長も「安全評価としては不十分で二次評価までやっていただきたい」と述べている。
 史上最悪で深刻な原子力災害となっているにもかかわらず拙速な再稼動をすることは、多くの犠牲者、ふるさとに帰還できずにいる多くの被災者への冒涜と言わざるをえない。
 原発事故の原因の真相究明が終わらなければ、当然、新たな原発事故を防ぐための改善策や解決策が見いだせず、3月11日以前と同じ法律、同じ組織、同じ基準で原発の安全性を確認し再稼動を判断することは、到底国民の納得は得られない。
 本市は大飯原発から約80キロの位置にあるが、福島第一原発事故と同等の事故が発生した場合には重大な被害が発生することが予想され、市民の不安は強いものがある。
 よって、政府においては、停止中の原発の運転再開を拙速に進めず、下記の事項について実現するよう強く要望する。

1 再稼動に係る審議は、福島第一原発事故の原因と実態が徹底的に解明され、その科学的知見を反映した新たな安全基準が示されたうえで、慎重に行うこと。
2 原子力発電所周辺における複数の活断層との連動による地震の可能性について科学的根拠に基づく徹底的な調査を行うこと。
3 地震・津波や高経年化、故障、運転ミスなどによる「全電源喪失」「重大事故」について、具体的な対策を講じるとともに、国民に公表し、十分な理解を得ること。
4 新たに設置が予定されている緊急防護区域(UPZ)内の住民の具体的な避難対策、救援対策を確立すると共に、近隣府県・市町村への情報伝達・情報開示を徹底すること。
5 福島第一原子力発電所の事故に対する原子力安全・保安院と原子力委員会の対応について徹底した検証をおこない、国民と国土を原子力災害から守る組織に改組し十分な機能と権限を付与すること。
6 原発依存から脱却し、電力の安定供給を図りつつ、需給システムの効率化等が図られるよう発送電を分離するとともに、再生可能エネルギーの開発、利用拡大を最大限に加速させること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年3月29日

京都府京田辺市議会

【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、経済産業大臣、内閣府特命担当大臣