「原発依存を考える」シンポジウム 物理学や歴史学、経済学などを研究している大学院生らが呼びかけて、「原発依存を考える」と題するシンポジウムが19日、京都市北区の立命館大学で開かれ、60人が参加しました。日本科学者会議関西若手研究会と立命館大学歴史科学研究会の共催です。
 野口義直摂南大学准教授、福井県の住職・中嶌哲演、フォトジャーナリストの島田恵の各氏がパネリストを務めました。
 野口氏は、日本のエネルギー政策は電力会社や原発メーカーが国の方針のもと、原発で生産した電力を独占価格で国民に買わせることによって「原発依存をつくりだした」と指摘。
 福島第1原発事故による放射線の人体への影響について、「低レベル被ばくは未解明で『わからない』というのが学問的に誠実な態度。政府は低い確率でも危険な可能性があるなら、情報を広く示すべき。科学的認識を深め、原発なくす運動を広めよう」と呼びかけました。
 チェルノブイリ原発事故直後から核燃料再処理工場のある青森県六ヶ所村を取材したという島田氏は、建設計画に反対してきた市民の活動を報告。同施設に関連した青森県への交付金が年約1500億円なのに対し、同県の農林漁業の生産額は年3500億円だと紹介し、「原発に依存しなくても地元の農漁民は生活できる。全国でいっしょに原子力エネルギーからの撤退を実現しよう」と訴えました。
 中嶌氏は、小浜市議会で「脱原発」を求める意見書が全会一致で可決したことや、福井県知事が停止中の原発について「再開を認めない」と発言したことを紹介。「世論に押されて原発を推進してきた人たちも背筋を正している。関西でさらに声をあげて、いっしょに若狭湾を安全な海にしよう」と呼びかけました。