生存権裁判 生活保護費の老齢加算、母子加算の廃止・削減は憲法、生活保護法に違反するとして取り消しを求める「生存権裁判」の最終口頭弁論が20日、京都地裁(瀧華聡之裁判長)でありました。約80人の傍聴者が見守る中、4人の原告は自宅での生活の様子を撮影した映像を示して、「人間らしく生きていきたい」「母子加算を元に戻して」と訴えました。判決は12月14日に行われます。
 弁論の冒頭、原告代理人の竹下義樹弁護士は、「貧困をこのまま拡大させていいのか、裁判所が問われている。1人ひとりが人間らしく生きることができる社会となるよう、審理を尽くしてほしい」と主張しました。
 原告側は、築50年の老朽した狭い木造アパートで生活する様子や安価な食材ばかりの冷蔵庫の中などを映像で紹介。4人が意見陳述し、松島松太郎さん(83)は、「友人と喫茶店でコーヒーを楽しむこともできなくなり、生活の大事なものが抜け落ちたよう。残された人生の1日1日を人間らしく生きていきたい」、今年18歳になる長男と2人暮らしする辰井絹恵さん(46)は、「子どもに何もしてやれないことを悲しく、情けなく思う。1日も早く母子加算を元に戻してほしい」などと裁判長に訴えかけました。
 最後に、吉田雄大弁護士は、生活保護のあり方を議論した厚労省専門委員会の結論が加算の「廃止」でなかったにもかかわらず、同省が廃止を強行したことを批判し、尾藤廣喜弁護士は「政府の手法を許せば、国民の生活水準が後退すればするほど生活保護費を低くしてもよいという負のスパイラルになる。司法の職責、使命を果たすべき」と強調しました。
 口頭弁論終了後、弁護士会館で報告集会が開かれ、老齢・母子加算を復活させる運動を強め、判決(12月14日)まで世論を盛り上げていこうと決意を固め合いました。