医療+暮らし

インフルエンザ(1)

マスク、手洗いで感染を防ぐ

全身症状が強い

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症です。感染を受けてから1~3日間の潜伏期間を経て、発熱(38℃以上)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然出現し、咳・鼻水などの症状がこれに続きます。1週間前後の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザの症状で、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。
 インフルエンザが特別視される理由のひとつは感染力の強さです。いったん流行が始まると、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込んで広がっていきます。
 学童児では毎年のように学級閉鎖・学校閉鎖を繰り返しています。インフルエンザにかかった人が部屋の中にいた場合、その人の咳やくしゃみ(飛沫)の中にインフルエンザウイルスがいる可能性があり、それをすい込むことで感染が拡大します。
 飛沫は1~2メートル以上は飛びませんし、マスクをしていれば飛沫の発生は最小限に抑えることができます。また、手や指先を介した感染もありますので、手洗いは重要です。狭くて換気の悪い部屋などでは、比較的長くウイルスが浮遊することもありますので(飛沫核感染)、時々空気の入れ換えをすることや、部屋の湿度を適度に保つことなどが大切です。

合併症の併発が多い

 もうひとつ、普通のかぜとは異なって合併症が多いこともインフルエンザの特徴です。インフルエンザが流行した年には、高齢者の冬季の死亡率が普段の年より高くなるという超過死亡という現象が知られていますが、これは高齢者において二次性の細菌性肺炎を合併しやすいことによります。抵抗力の弱い高齢者・乳幼児、気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などの方は、インフルエンザにかかると合併症を併発する場合があります。
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子どもの場合には、解熱剤を選ぶときは気をつけて
 乳幼児では中耳炎や熱性けいれんが起こりえます。また、その他の合併症としては、ウイルスそのものによる肺炎や気管支炎、心筋炎、アスピリンとの関連が指摘されているライ症候群などが挙げられます。

急性脳症の存在も

 小児においてはインフルエンザの時期の解熱剤の使用はアセトアミノフェンに限られます。状況によっては入院を要したり、死亡したりする例もあり注意を要します。さらに近年我が国では、小児において年間100~200例の、インフルエンザに関連したと考えられる急性脳症の存在が明らかとなり、現在病態の解明が進められています。(2へつづく
京都民医連中央病院小児科 尾崎 望
【インフルエンザ脳症による異常言動・行動】

(1)両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)。
(2)自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
(3)アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする。
(4)意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。
(5)おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情
(6)急に怒りだす、泣きだす、大声で歌いだす。

→「こういった症状が続く時は受診が必要です」
2009年1月21日 16:01 |コメント0

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