医療+暮らし

狭心症に注意を

致命的な心筋梗塞に振興することも

胸が痛い、締め付けられる……狭心症に注意が必要です。


狭心症の冠動脈例
 狭心症は胸痛の発作を特徴とする病気で、致命的な心筋梗塞に進むことがある病気です。患者さんは通常、胸が締め付けられる、圧迫されるなどを自覚することが多く、数分間持続します。息切れや全身のだるさのこともあります。痛みがのどや下あごへ伝わる、奥歯がしびれるように感じる、左肩や腕へ放散するなどもよくみられます。また、みぞおちや上腹部の痛みのこともあり、胆石や消化性潰瘍などと紛らわしいことが少なくありません。

 運動時に起きるものを労作性(ろうさせい)狭心症と言いますが、この場合どの程度の運動で発作が起きるか患者さんが自覚していて、日常生活で発作の起こる動作を自然に回避していることもあります。一般に、寒冷時、朝食後出勤時、バス停に走った時、物を抱えての登坂や昇段などで発作が起きやすい傾向があります。  これとは別に明け方や早朝起床時の胸痛発作を特徴とする冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症というタイプもあります。発作が安静時に起きることが多く、運動との関連が少ないものです。深酒をした翌朝に発作が起きることもあります。

 狭心症に似た症状をもつ病気はたくさんあります。胃食道逆流や消化性潰瘍、胆石発作のなどの消化器の病気、心膜炎や胸膜炎、気胸、肋間神経痛なども紛らわしいことがあります。消化器の病気は食事と関連があることが多く運動には関係しないことが参考になります。体位で痛みが変化したり、チクチク、キリキリなどの体の表面的な痛みの場合は神経や筋骨格系の可能性が高いようです。呼吸によって痛みが変化する場合には心膜炎や胸膜炎が考えられます。また、心臓弁膜症や心筋症という心臓の筋肉の病気などでも狭心症と似た症状のことがあります。

 狭心症が疑われたら診断をはっきりさせて安定している狭心症か不安定な狭心症かを明らかにしなければなりません。前者は比較的安心できますが後者は心筋梗塞になりやすく、危ない狭心症だからです。これらは診察と心電図や心エコーなどの検査で診断できますので心配な症状がある場合には受診されることが一番大切です。最新のCT検査(MDCT)では狭心症の原因となる冠状動脈(心臓自身に血液を送る血管)の動脈硬化性の狭窄の有無を調べることができます。外来でできますので気軽に相談されることをお勧めします。診断ができれば薬や風船治療、バイパス手術などで治療が可能です。
京都民医連中央病院 循環器科 吉中丈志
2009年1月15日 15:13 |コメント0

医療+暮らしの新着

「医療+暮らし」は「週刊しんぶん京都民報」で好評連載中です

コメントを投稿

コメントは、京都民報Web編集局が承認するまで表示されません。
承認作業は平日の10時から18時の営業時間帯に行います。




メールアドレスは公開されません



京都の集会・行事