京都総評 京都総評は8日、地域での労働組合運動(地区労・協)の研究・交流集会を市内で開催しました。23回目の研究・交流集会で、府下の総評加盟の地区労協が参加しました。
 集会は、労働組合の組織と活動が後退している中で、今改めて地区労協の存在意義を確認し、労働者、国民の要求をつかみ、地域の共同の取り組みと地域ユニオンの飛躍的拡大を広げるのが目的。梶川憲事務局長は開会あいさつで「労働組合、ユニオンの地域での役割、そして社会的役割が問われている今、新しい試みと取り組んだ5月19日の「Union Up2013」から教訓を学び、今日の講演から学び交流しよう」と呼びかけました。
 「新しい組合運動のための組織論、社会論、国家論」と題して碓井敏正(京都橘大学名誉教授)さんが講演しました。碓井さんは京都私大教連委員長などの経験をふまえ、現在の労働運動を取りまく環境が大きく変化し激烈な生き残り企業主義への変化は大学まで及んでいると述べました。
 その上で、「既成概念・従来型発想からの脱皮・現代日本の現状を全体的、歴史的に捉える、時代の変化に応じた組織論と活動の展開」の3つのポイントがこれからの労働運動、革新的運動再生と新たな多数派形成の前提になると提起しました。そして、時代の変化を全体的に正確にとらえる観点、縦軸としての資本主義体制と社会主義体制という見方と未成熟社会と成熟社会という横軸からの認識、国家と市民社会という縦軸と左翼、右翼という横軸からのとらえ方が必要と具体例を板書して解説。高度経済成長、政官財の癒着、利益誘導型政治や自民党一党支配、日本型雇用、企業別組合、社会の二重構造から、ゼロ成長、少子高齢化、新自由主義的社会再編、雇用の規制緩和の顕在化と機能不全、改憲勢力の台頭、閉塞感の拡大、政治不信とポピュリズムの悪循環へと変化していると指摘しました。
 また、市民社会の成熟と民主主義の深化、自己決定権など人権概念の展開など国家等市民社会への変化拡大も指摘しました。こういった変化から、啓蒙型、権威型、司令型から参加型、対話型と自己実現型への社会運動も変化してきていると指摘、新しい統一戦線の発想が要求されており個体的発想から関係性重視へ、一致できる共通項での統一という発想が必要と述べました。
 馬場隆雄副議長は「地区労協の現状と課題」と提起があり具体的で前向きな行動を通じて地区労協を確立する必要性を訴えました。梶川氏から「ユニオンアップ2013をふり返って」の特別報告があり、「労働組合を社会的に打ち出す事に挑戦し、労働組合の自己満足でなく、府民・市民の目線で、特に若い人たちへの労働組合の存在と役割、そして必要性を加視化するかの挑戦でした」とユニオンアップのねらいを改めて述べました。これらの報告を踏まえて活発な質疑応答がありました。
 交流ではすべての地区労協から活動報告や課題など発言があり、明日からの取り組みを前進的に確認し合いました。(仲野)