原発連続講座 チェルノブイリ事故による放射能汚染の実態を調査し、市民科学者として原子力発電所の危険性を訴え続けてきた元慶応大学助教授の物理学者・藤田祐幸さんが11日、京都市南区内で講演し、「政府や電力会社は『原発震災』の警告を無視してきた」と訴えました。
 京都や滋賀のキリスト教牧師、真宗大谷派僧侶らでつくる「いまこそ原発を問う連続講座」実行委員会が主催。関東地方から避難してきた家族を含む約350人が参加しました。
 藤田氏は、地震学者の石橋克彦氏が、巨大地震によって原発が破壊され、放射能で被災者救援や復旧対応が困難な事態に陥ることを「原発震災」と呼び、警告していたにもかかわらず政府や電力会社は無視してきた批判。福島原発の現状について、「スリーマイル島やチェルノブイリのような1つの原発の事故ではなく、4つの原発事故が同時進行し、そのうえ使用済み核燃料プールからの放射能漏れという、もうひとつの巨大な問題にも直面している。塩素38という寿命の短い放射性物質も検出され、部分的に再臨界が起こっている可能性もある。『絶対安全』という呪縛にしばられ、危険性を認識できない電力会社や政府は当事者能力を完全に失っている」とのべました。
 また政府が一般の人の被曝限度量を示す放射線規制値を現在の年間1ミリシーベルトから同20ミリシーベルトに引き上げようとしていることについて、「規制値は広島・長崎の被曝者の研究の中で生まれたもの。引き上げは被曝者らの苦難の歴史を裏切るものであり、許されない」と訴えました。
 講演会では、「原発設置反対小浜市民の会」の中嶌哲演・明通寺住職が「若狭から都市住民への問いかけ」と題して訴えました。