今熊野観音寺Imakumano Kwannon-ji Temple

　泉涌寺塔頭の信那智山観音寺（今熊野観音）は、西国三十三カ所観音霊場の第十五番目の札所として有名です。創建は854～857年（斉衡年間）で、藤原緒嗣（ふじわらのおつぐ）が伽藍を造営したと伝えられています。
　広大な伽藍は応仁の乱などで焼失した後、再興されました。空海作と伝わる十一面観音像が安置された本堂は、真っ赤に燃えたつ紅葉に包まれ、その美しさは息を呑むほど。本堂東側の高台に立つ多宝塔「医聖堂」や、弘法大師をお祀りする「大師堂」が紅葉の合間から覗き、見事に調和した景観は東山地域でも最も美しい紅葉スポットの一つです。階段を登りきったところに広がる美しい紅葉に、参拝者はおもわず「マァ、きれい！」「ものすごう、きれいやん。こんなところ知らなかった」と感動の声をもらしていました。（仲野良典）