ディーンズ株急上昇! ワラビーズ、ABsに快勝
トライネイションズ2008第4戦 オーストラリア‐ニュージーランド(7月26日、オーストラリア・シドニー)
先週W杯チャンピオン・南アフリカに快勝し、見事なスタートを切ったロビー・ディーンズHC率いるオーストラリア・ワラビーズ。一方、まさかの大逆転負けを喫し、国内での連勝が30で止まったニュージーランド・オールブラックス(ABs)。ブレディスローカップがかかるだけでなく、昨年W杯敗退後、ABsヘッドコーチに待望する声が大きかったニュージーランド人のディーンズHCの初の母国対戦も注目の一戦。
キックオフ直後からワラビーズがABs陣内で猛攻。前半6分、NO8ワイクリフ・パールーの突破からパスを受けたSOマット・ギタウがディフェンスにギャップを突いて走りこんだところを、LOブラッド・ソーンがハイタックル。これがシンビンとなり、ギタウのPGでワラビーズが先制(3-0)。
ABsが14人となる中、続く9分、WTBロテ・トゥキリのビッグゲインからLOナイサン・シャープが持ち込んでラック、パスアウトを受けてギタウが左サイドに走りこんできたCTBライアン・クロスに回し、トライ。クロスはリーグラグビーからの転向で、カンガルーズ(13人制豪州代表)の経験を持つ。キャプテンのスターリング・モートロックに代わって初スタメンの大役を果たす。キックも決まり、10-0。
13分、絶好調のSOダン・カーターのランをギタウがビッグタックルで仕留め、ターンオーバー。両SOの対決も熱い。
24分、自陣クイックリスタートからFBミルス・ムリアイナがゲインし、ショートパント。CTBリチャード・カフィが突っ込み、最後はムリアイナが押し込んでトライ(キック失敗で10-5)。
33分、ワラビーズボールのスクラムからギタウ→FBアダム・アシュリー・クーパーがゴロパントし、走りこんだトゥキリがディフェンスと接触するも、はじいたところにWTBピーター・ハインズが押さえてトライ(キック成功で17-5)。
ここからABsが反撃。36分、怒涛の連続攻撃はワラビーズが守りきるも、39分、右サイドへ展開すると見せてHOアンドリュー・ホアが内側に切れ込みトライ(キック成功で17-12)し、前半を終える。
後半開始早々、カーターがこの日何度と見せた美しいほどのラインブレイクからSHアンディー・エリスがトライ(キック成功)し、逆転(17-19)。
48分、このゲームのターニングポイントとなる選手交代。FLダニエル・ブライド、ホアがアウト、シオネ・ラウアキ、ケビン・メアラムがイン。
55分、またもやトゥキリがゲインし、ショートパント。インゴール直前で間一髪SHジミー・カウワンがセーブし、蹴りだすもタッチを切れず、ワラビーズが再びカウンター。アシュリー・クーパーのブレイクに最後はFLロッキー・エルソムがねじ込むようにトライを決め、再逆転(キック成功24-19)。
1トライ差の白熱の攻防が続く中、66分、ラウアキの痛恨のノッコンで得たワラビーズボールのスクラムからのパスアウトをギタウが値千金のDG成功(27-19)。SO対決はギタウに軍配か。
73分、またもやラウアキのハンドリングエラーから、パールーがゲイン、最後はLOジェームズ・ホーウィルがトライ(キック成功34-19)し、試合を決めた。
リッチー・マコウの欠場でブレイクダウンに競り負けた感はあったが、とにかくABsはミスが多かった。特に途中出場したラウアキは直接失点につながるミスを連発。ここまで好調だったCTBマア・ノヌーも沈黙。カーターの見事なランブレイクもある意味、攻め手を欠いたゆえのプレー選択に思えるほど、この日の攻撃陣は機能しなかった。
一方、ワラビーズはギタウ、バーンズの10番・12番コンビがかみ合い、見事にゲームコントロール。確実・堅実にプレーにからむシャープ、力強い突破のパールー、以前の爆発的な走りを取り戻しつつあるトゥキリなど各自がしっかり役割を果たした。ディーンズHCになってからワラビーズは5戦負けなし。ホームでも快勝し、一気にオージーの心をつかんだに違いない。
次(8月2日)はABsのホーム、イーデンパーク。絶対に負けられない…そんなプレッシャーがことのほかプレッシャーに弱い黒衣の選手たちに襲い掛かるような気がする。
最終スコアは、34(4T4G1PG1DG)-19(3T2G)![]()
この世に数ある格闘技。その中に必ずと言っていいほど出てくるのが「サモアの怪人」である。大相撲の元横綱曙も出身はハワイではあるがサモアンの血を引いている。もちろん格闘技の要素をふんだんに含むラグビー界も例外ではない。サモア代表だけにとどまらずオールブラックスを筆頭とする強豪国の中においても「サモアの怪人」の存在は大きい。サモアの人口が20万人弱であることを考えれば、いかに格闘技の好きな、強靭な肉体を持つ民族なのかがわかる。
アイルランドは2つある。1つはアイルランド共和国。もう1つは英国内の北アイルランド。長らく対立し、度々紛争が起きている。しかし、ラグビー界においてアイルランドは1つしかない。130年以上前からエメラルドグリーンのジャージを着て統一チームとして戦ってきた(サッカーなど他のほとんどのスポーツでは二分している)。ホームユニオンの一員でありIRBの宗主国である。
欧州移民の中でも最も大柄なオランダ系移民が多く、身長195センチ以上の選手がゴロゴロ出てくる。その巨体をぶつけ合うラグビーが南アラグビーの伝統である。