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新生ABs 不安残る勝利

08テストマッチ ニュージランド―イングランド(NZ・オークランド、6月14日)

author:テツヤ

 失意のW杯(準々決勝敗退)から8カ月。まさかのヘンリー・ヘッドコーチ留任、相次ぐ中心選手の海外移籍などでNZ国内でのラグビー人気にかげりが出てきているのでは…とも言われる中、先週のアイルランド戦に勝利したオールブラックス(AB)がW杯準優勝国・イングランドを迎え撃つテストマッチ第1戦が満員のオークランド・イーデンパークで行われた。

 イングランドは、大黒柱SOジョニー・ウィルキンソンをはじめけが人が相次ぎ、昨年のW杯決勝メンバーはPRアンドリュー・シェリダンのみという布陣。しかし、「キャップ数は少ないがあなどれない」(解説・藤島大)の指摘通り、緊張感ある好ゲームとなった。  
 キックオフ直後からイングランドFWがサイズ、パワーを生かして強烈に押し込み、接点で執拗にからむ。立ち上がりから見ている方も力の入る攻防が続く。10分、CTBオーリー・バークリーのPGでイングランドが先制すると、11分にSOダン・カーターのPGですぐに追いつく。
 イングランドFWの迫力なのか、もともとABの課題といわれるラインアウトのミスが続出。16分、キャッチミスを逃さずイングランドが左サイドに展開し、WTBデイヴィット・ストレットルがトライ! と思いきや、インゴール寸前にしぶとくタックルを決めたNO8ジェローム・カイノがノッコンを誘い、見事なトライセービング。

 19分、AB主将FLリッチー・マコウの接点でのぎりぎりのプレーが反則をとられ、バークリーのPGで3-6。しかしその直後、イングランドのキックオフミスからカーターが絶妙のグラバーキックを蹴りこんだところに、CTBコンラッド・スミスがするどく走りこみ、トライ。コンバージョンも決まり、13―6。

 続けて28分、イングランド陣内のスクラムから展開し、カーターがトライ(キック成功、20-6)。FWに押されながらも、展開力では一味違うところを見せつけるAB。この後、シェリダンがシンビンで退場。PGも決まり23-6と、イングランドが局地戦では互角以上のプレーを見せながらも点差が開く展開。さらに37分、カーターのするどいカットインから再びトライが生まれると思った瞬間、インターセプトした初キャップのWTBトプシー・オジョーが爆走。追走するFBミルス・ムリアイナに一歩も触れさせず、70メートル走りきりトライ(キック成功、23-13)を決め、このままでは終わらせないぞという雰囲気を漂わせて前半終了した。

 後半は開始直後からABが魅せる。42分、イングランドのラインアウトミスからCTBマア・ノヌーがラインブレイクし、ムリアイナにつないでトライ(キック成功)。46分には、ABボールのスクラムをイングランドがターンオーバーするも、さらにターンオーバーでカーター→ノヌー→WTBシティヴェニ・シヴィヴァトゥが飛び込み、4トライ目(37-13)。ボールが動く展開になると断然強い。
 この後、得点に結びつかないものの、接点、ラインアウトではイングランドFWの強さは目立った。72分、オジョーがまたもや快足を飛ばしてトライを決め、37-20で試合終了。

 試合後、藤島大さんは、ウィルキンソンを欠きながらもFWが健闘したイングランドを、「チームの将来性、伸びしろでは上」と評価。一方ABは、スミス、ノヌーのハリケーンズコンビ、大黒柱カーターの好調が好材料。しかし、あのラインアウトではトライネーションズで南ア、豪州に勝てるだろうか…不安は残る。

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July 15, 2008