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陥落! ハウス・オブ・ペイン

トライネイションズ2008第2戦ニュージーランド―南アフリカ(7月12日、ニュージーランド・ダニーデン)

author:スモールフォス

 先週のゲームではSOダン・カーターの正確なキックと安定したスクラムで19-8と世界王者を退け、NZ国内での南ア戦の連勝を30まで伸ばした。今週、「ハウス・オブ・ペイン(お仕置き小屋)」と呼ばれるダニーデンのキャリスブルックで再び世界王者をねじ伏せ、連勝を伸ばせるか。
 
 開始早々からオールブラックス(以下ABs)が積極的に展開。南アの反則やキックミスに付け込み、カーターが確実にPGを決め9分までに6-0とリードを奪う。
 一方南アも積極的にパスをつなぎ確実にゲインを切る。11分、ABsのラインアウトを奪いペナルティを得、モンゴメリーが決め6-3。
 双方ともにボールをつなげば確実にゲインする力を持っている。スクラムは互角、ラインアウトは南アが優勢である。
 13分、南アはFLスカルク・バーガーのハードタックルからボールを奪いキックで敵陣に。しかし反則、そこからのハリー攻撃で一気に返されペナルティ。これをカーターが決め9-3。しかし、18分、ラインアウトでのABsのペナルティ。モンゴメリーが確実にPGを返し9-6。さらに20分にもPGを決め9-9の同点に。カーターも負けじと返し12-9とABsは逆転を許さない。
 ABsは早く大きく展開し、南アディフェンスを揺さぶり続ける。しかし、南アは、多少の乱れはあるものの、激しいタックルを見舞い続けABsのミスを誘う。
 30分、南アはラインアウトの優位性からワイドにゲイン。ゴール前でABsボールのラインアウトに。過去数年、ずっとラインアウトの不安定なABsはここでも乱れ、南アボールのスクラムとなる。新ルールを活かし、NO8'ビッグ'ジョーのサイド攻撃からWTBピーターセンがあっさりトライ
 前半終了間際にカーターがPGを返すも15-17と南アリードで前半を終える。

 後半、相変わらず南アはラインアウトで優勢。モールにおいても新ルールで容認されたモールの引き落としを問題とせずにパワーでゲイン。一方ABsも衰えぬスタミナでボールを大きく早く動かし続ける。
 52分、南アドロップアウトからCTBノヌー、途中出場のNO8ラウアキの強烈な縦を交えながら大きなワイド展開でラウアキのトライ。コンバージョンも決まり22-17と逆転に成功する。
 南アもHOビスマルクが素晴らしいランニング、SHジャニュアリーが再三ラックサイドをつき、CTBデビリアスもワールドクラスの技術を見せつける。60分にPGを返し22-20と食い下がる。
 しかしABsのスタミナに衰えはなく、65分南ア陣22メートルでカーターが振り向きざまの見事なDGを決め25-20と差を広げる。 しかし、直後の66分、この日再三ラインアウトでの反則を犯していたABsのLOトンプソンがまたもペナルティ。これをSOブッチ・ジェームスが決め25-23と全く読めない展開となる。
 72分、南ア、世界最高峰のLOマットフィールドがハイタックル。この試合、双方幾度も注意を受けていたため、シンビンとなり、南アは残り8分を14人で戦うことに。さらにこのPGをカーターが決め、28-23で勝負ありと思われた。
 しかし、74分、キックカウンターから南アSHジャニュアリーがこの日再三突いていたラックサイドを突破。ショートキックを自らキャッチしトライ。コンバージョンも決まり28-30と逆転。
 残り5分、ABsが攻め続け、南ア陣内に。落ち着いてカーターがDGを決めれば劇的な逆転勝利となる展開に。しかし、なかなかいい位置にはたどり着かない。やっとカーターがDGを狙うも外れてしまう。ノヌーの突破であと少しというところへ来ても反則。ABsの負けパターンにはまっていく。
 終了間際、カーターが再びDGを狙うもチャージに遭い、ターンオーバー。ノーサイドとなった。

 ホームチームが圧倒的に強いことから、「ハウス・オブ・ペイン」と呼ばれるキャリスブルック。ABsは南アに国内では10年間負けておらず30連勝中。キャリスブルックでは87年の歴史で負けたことが無かった。いくら南アが世界王者であっても、この試合に負けることは許されない。そんなプレッシャーに負けてしまったABs。W杯からの成長は無いと考えるしかなく、NZのラグビー人気が心配である。
 一方南アは、間違いなく世界一の激しさでついにジンクスを打ち破った。チームのまとまりさえあればやはり強い。後半戦のホームゲームが楽しみだ。

 最終スコアは、28(1T1G6PG1DG)‐30(2T1G5PG1DG)

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July 29, 2008