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おでかけレポート

詩と音楽、そしてお酒に陶然 町家コンサート+試飲会

10月11日、西陣の町家・古武で着物クラブ秋のつどいを行いました

約半数の方が着物でお越しでした!


 着物クラブ秋のイベントは「町家コンサートと朗読会+日本酒試飲会」。約50人の方にご参加いただきました。

 会場の古武邸は、西陣の織屋を再生した町家。耳をすませば近所の織屋さんから機音が聞こえてくるような風情ある佇まい。当日、天気予報では雨が心配されましたが、着物姿の女性が半数を超え、西陣の町家に似つかわしい催しとなりました。

左:ひらのさん、右:安田さん

 幕明けは、詩人のひらのりょうこさんによる詩の朗読。安田辰雄さんの三味線にのって、ひらのさんが出版した詩集「YAMAMBAお花」に登場する「お花」のひとり言です。
 シャネルの5番を着物のたもとに隠していた母親の着物がたり…。衣装にこめた女の想いにからめて、ひらのさんのお母様への想いがしみじみと伝わる詩でした。
 朗読にあわせて町家に響く三味線の音曲も素晴らしく、障子越しに差し込むほのぼのとした秋の日差しの中、和の音色にうっとりしたひとときでした。

野田淳子さん

 続いてはシンガーソングライターの野田淳子さんのミニライブ。「里の秋」、金子みすゞの「大漁」、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」、「元気かい」などの曲を披露。
 唱歌として親しまれている「里の秋」は母と2人過ごす山里の秋を唄ったものですが、あまり知られてない3番の歌詞があり、それは出征した父の無事を祈るものでした。続く曲もみな平和と反戦をうたったもので、野田さんの歌にこめたメッセージが伝わり、最後の「元気かい」では、会場の皆さんで声を合わせて唄いました。

 詩と音楽を堪能したあと、佐々木酒造の若主人・佐々木晃さん、創作着物を出展していただいた安藤鋼三郎さん、古武主催の古武さんからご挨拶いただきました。実は、今日のひらのさん、野田さんのお召し物は安藤さんのお作。ジョークをからめた安藤さんのお話では会場から思わず笑いが起き、古武さんの西陣の歴史のお話では、短いながらも楽しくわかりやすい語りに感心することしきり。
 笑いとなごやかな雰囲気に包まれ、試飲会へ移りました。

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日本酒おいし~い!

 本日のプログラムのなかでも特にご好評いただいたのが佐々木酒蔵さんのお酒。佐々木晃さんとお話される方で列ができたり、腰を据えて話し込む人もおられ、畳敷きの会場ですから、皆さんあちこちに座り込んで話の輪が生まれていました。
 とくに着物をお召しの方は、着物の生地や和の文様、小物の合わせ方など着物談義に花が咲いたり、お話をして実はご近所で驚いたりなどなど、思わぬ交流が広がりました。

 2階では、創作着物の安藤さんが染や織りの着物や帯を展示。
 ぽってりした鬼ちりめんに、大胆な流水文に兎を配した緋色の振袖、海老茶地に玩具づくしの可愛らしい訪問着のほか、絞りや友禅で表されたユニークな動物柄の小紋など、どれも古典のよさを踏まえながら独創性のある素敵な着物ばかり。着物好きにはたまらないコーナーとして賑っていました。

 参加者には下駄の鼻緒作家さん、手描き友禅作家さん、陶芸家の方、悉皆屋さんなどもおられ、職種を超えて和の文化や京都のこれからなど、さまざまな話題が広がり、次回のイベントへの期待も高まっていました。
 プログラムもそれぞれ好評いただき、皆さんの交流の場としても楽しんでいただけた秋のイベントでした。

コメント

こんにちは。
先日は楽しいひとときをありがとうございました。
詩の朗読会というのは初めてでしたが、ひらのさんの柔らかい京都ことばがとても耳に心地よかったです。三味線を「ライブ」で聴くのも初めてでして、すごく和室で素敵に響くんですね。周りが木や障子だからでしょうか、格別に音響設備もないのに。驚きました。
「里の秋」に3番があったのを初めて知りました。戦後すぐに流行った歌だったのですね。

雨が降りそうで、着物で行くのはどうかな~と心配したのですが、晴れてよかった!会場の雰囲気も着物にバッチリ合っててgood!
町家でこういう催しがあるのはいいですね。またよろしくお願いします。