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再生の仕事─鍾馗さん

 大きな「鍾馗」さんに出会ったのは、北野の天神さん(京都市上京区、毎月25日)でした。あまりの迫力に圧倒されて、買ってしまいました。汚れていたのを洗ったところ、色が落ちてしまい、ショックでしたが、かすかに残っている部分を元に色を差して再現しました。これが大変でした。

 両脇に使用している布は、京都の問屋さんが、特別に染めさせた藍染です。5色を使って、やさしい色合にしたのが、画面にマッチしていると思います。京の町屋では、瓦の「鍾馗」さんは見かけますが、手描でこれほどBigサイズの作品は見たことありません。

 岐阜の友人に聞きましたところ、男の子が生れた時に、初節句で「鯉幟、武者、鍾馗」の3枚の幟を立てる習慣が続いていたとの事。現代は、どれ程残っているのかは分かりません。今回の作品は、疫病神を除くと言われている「鍾馗さん」の力が、すごい迫力で迫ってきたように思えます。(縦340㎝、横200㎝)