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再生の仕事─唐獅子牡丹

再生の仕事「唐獅子牡丹」のキルト このタペストリーの図柄は、上下に紬の古い帯地を使い、唐獅子は小巾の4枚の綿古布をつないで1枚の絵のように構成しました。作者は不明です。黒地で牡丹の中にベージュが入っているおとなしい柄行きでした。私の手元に来た時は、ぼろぼろで汚れていました。手洗いし、アイロンを当て、ほつれたところを1針ずつ縫いながら、眺め、眇(すが)めつ…、何とか生かしたい。そんな思いがこみ上げてきました。思い切ってオレンジの濃淡、黄色を描いて、強さを出してみました。そして唐獅子の目に色を差すと、生き返ったかのようです。この絵を描いた作者との不思議な縁を感じました。
 着物地を洋服やバッグなどに再生する仕事を手掛けるようになり、10数年になります。今までどれほど多くの布と接してきたことでしょうか。糸を紡いだ人、織った職人さん、染物屋さん、袖を通した女性などたくさんの人の手を通って私のところに来た布たち。私にとって再生の仕事は、生命を考え、繋いでいく仕事なのかも知れません。