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和布ものがたり

銘仙

 戦前は女性の普段着として関東一帯で盛んに織られていました。柄も大きく大胆で、色鮮やかな染が多く、古代紫の色は、とても味わい深いです。今の若い女性が、洋服感覚で銘仙に魅力を感じるのも理解できます。
 戦前のアンティーク銘仙は、使用された染料の種類によっては、生地が弱って穴があいているものもあり、リフォームに使用できない場合もあります。擦れて破れやすいものもあり、私どもではあまり利用しておりません。むしろ現代に織られている銘仙で、織も染も改良したものは、洋服にも小物にも適応できると思います。


※ベストにリフォームした銘仙は戦前のものです。接いで、布をあてて、ボロボロですが、とことん着た後にまだ着ようと思っています。私のお気に入りのベストです。



画像上左:アンティーク銘仙。古代紫地にアザミの柄。銘仙特有の大胆で大柄な柄行。
画像上右:戦前の図案を再現した現代の復刻銘仙。深紫地に井垣と牡丹。
画像下:戦前の図案を再現した現代の復刻銘仙。絣文様にのびやかな椿を組み合わせた柄行。


※銘仙は「織物」の一種ですが、絣の付け方は「ほぐし捺染」と呼ばれる手法によるものです。銘仙特有の大胆な柄行は、経糸だけを先に型染めすることで生まれます。ごく粗く緯糸(よこいと)を入れて経糸(たていと)を張り、型紙で柄を擦り込んだあと、仮の緯糸をはずし、織り上げていきます。型を使用するので、他の織物にはない多色で自由な柄を表現できます。基本的に経絣の文様となりますが、単色の糸や絣染めの糸など、どんな緯糸を使用するかでまた雰囲気が変わってきます。