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おでかけレポート

「大人のお子様ランチ」と紫織庵訪問

5月17日、泉商店さんでの第3回目の着付け教室を開催しました

紫織庵

紫織庵サロン「鎌倉彫の間」での記念撮影

 午前10時より開催、今回は6人の参加でした。今回のお稽古は「名古屋帯」の結び方。とうとう「お太鼓結び」です!
 今回、月子先生にご指南いただいたのは「帯クリップ」を使った一重太鼓の結び方。帯を結んだりひねったりするかわりにクリップで留めますので、帯が痛みにくく、背中もゴロゴロせず楽なのだとか。帯枕にかけるガーゼと、途中で仮留めに使用する洗濯バサミもご用意いただき、イザ「一重太鼓」を。
 「お太鼓柄」と「腹柄」のちょうどいい配分になる巻き方、帯枕を「背負う」コツなどなど…「なるぼと~!」な、師範ならではのコツがいっぱいでした。ちなみに、帯枕を背中の中心に当てるには、枕を背中に当てるときに背中を曲げず、片足を一歩踏み出して、心持ち仰向けに反るようにして当てること。かがんで背中を丸めて枕を載せると、枕の位置が下がってしまいます。最後まで順を追って細かくご指導いただき、皆キレイにお太鼓を結べました。完成したあと、お太鼓を解いてもう一度結びなおしたり、時間いっぱいまでお稽古。皆さん、自信がついたのではないでしょうか。
ガスパール・ザンザン

グラニテが山盛り!豪華版グレープフルーツのプリン

 着付け後、「おでかけ」のみのご参加の方も加わり、本日のランチはガスパールザンザンへ。こちらは「大人のお子様ランチ」がコンセプトの気軽なビストロ。なかなか予約がとれない人気店としても有名です。
 本日は、1000円のワンプレートランチ。それにプラス300円でデザートを豪華版に。今月の月替りメニューは、グリンピースのポタージュとイカ墨のリゾット。メインは、それぞれお好みのものをチョイス。ポタージュは春の香りたっぷり、イカ墨もコクがあり、なかなかの味。もちろんメインも堪能し、お待ちかねのデザートはザンザン自慢のグレープフルーツのプリン。豪華版は、それにグレープフルーツのジュレを載せ、更にグレープフルーツとカンパリのグラニテを載せたもの。「三層いっぺんにすくってお召し上がりください」とのことで、ココットからあふれんばかりに盛られたグラニテと格闘し、なんとか三層いっぺんにすくい口に入れると、まずプリンのまろやかで優しい味、そしてグラニテがすーっと爽やかに溶け、最後にジュレの柑橘系独特のフレッシュな酸味が…。なんて鮮烈で贅沢な味わい。1000+300円でお得感いっぱいのランチでした。

紫織庵

広縁のガラス戸はすべて建築当時の「波打ちガラス」

 大満足のランチのあとは、「京のじゅばん&町家の美術館 紫織庵」へ。こちらは敷地240坪に茶室、サロン洋館、2階建て母屋、蔵2棟などからなる大正時代の町家で、昭和に入り川崎家の本宅兼迎賓館として使用された後、現在は町家美術館として長じゅばんの歴史展や販売、季節の催しを行っています。
 洋館部分を近代建築の父・武田五一が、茶室や和室部分を数奇屋の名工・上坂浅次郎が手がけた建物は、京都の伝統的な「大塀造」建築の代表例で、近代建築の貴重な資料であり、全国から訪れる見学者の中で最も多いのは建築関係の方だそうです。
 本日は、着物クラブからの企画訪問ということで、川﨑家現当主・川﨑榮一郎さんみずからがご説明くださいました。大学講師もなさっているという川﨑さん、さすがにこなれた語り口で、興味深いお話をいろいろ伺うことができました。
 かつての豪商の経済力を偲ばせる各部屋の贅を尽くした室礼、殊に日本画壇の中心だった京都ならではの贅沢な調度や建具の意匠に一同驚嘆。母屋1階座敷の東山三十六峰をモチーフにした欄間は竹内栖鳳によるものだとか。「火事になったら一番に持って逃げます」という川﨑さんの冗談に、笑いが起こるひとコマも。
 2階にあがると、そこは長襦袢資料の展示室。
紫織庵

開催中の「おもしろ長襦袢展」

テーマは「おもしろ長襦袢展」ということで、オリンピック、玩具、世界地図など様々なものをモチーフにした大正・昭和初期の遊び心あふれる長襦袢が展示されていました。「錦紗織」「古浜ちりめん」「モスリン」など素材もさまざま。着物が「日常着」だった当時、男性も女性も思い思いに下着のおしゃれを楽しんでいたのがわかります。
 無線ビロードの豪華なコート、復刻刺繍半衿のほか、復刻長襦袢、浴衣をご紹介いただきました。昔の図案のおもしろさ、手摺り友禅ならではの深い色合いに感心。20~40枚もの型を使った復刻図案の華やかな色柄に魅せられ、皆さん、「コレがいいわ」「欲しい」とすっかりお買い物モードに。

紫織庵

サロンでお抹茶を

 ひととおりご紹介いただいたあとは、2階洋間サロンでお茶を一服。
 この洋間は「鎌倉彫の間」と呼ばれているそう。床は寄木貼り、窓にはステンドクラスを配し、建具はすべて鎌倉彫の彫刻が施された豪奢な設え。大正ロマンただよう素敵なサロンでお茶をいただきながら、着物談義に花が咲きます。先生を交え、着物着用時のちょっとした工夫やコツなど、お役立ち情報が話題に。
 ひとしきりおしゃべりを楽しんだあとは、自由行動で、浴衣を吟味する方、夏のウォッシャブルシルクをご覧になる方など、さまざま。紫織庵の建築のすばらしさ、復刻図案の面白さ、手摺り友禅の繊細で奥深い色に時間を忘れて楽しんだことでした。

 5月の爽やかな晴天のもと、美味しいランチとすばらしい展示に、ほんとうにお腹も目も、そして“キモノゴコロ”も大いに満足できた一日だったのではないでしょうか。ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした!

大塀造(だいべいづくり)仕舞屋(しもたや)の一種で、特に塀付きの屋敷を大塀造という。通りに面して高塀(大塀)と門口を設け、住居棟の間に庭園を配する。塀に接して棟(通常は応接室)を配し、その奥に玄関、居住棟が接続する。主に医者・芸術家・大店の隠居用などに使用された。