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ぜんぶ、フィデルのせい

ぜんぶ、フィデルのせい 「キョーサン主義って何!元の生活にもどりたい!ぜんぶ、フィデルのせいなのね?」
 『ぜんぶ、フィデルのせい』は、9才の女の子・アンナの目線から、70年代当時の激動の社会と、ちょっぴり理不尽にも見える大人たちの変化を、時にユーモラスに、時にリアルに映し出す。
 本作が初の長編フィクションとなるジュリー・ガヴラスは、フランスでもっとも期待されている新進女流監督のひとり。『ミッシング』(82)でアカデミー賞脚色賞、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した巨匠、コスタ=ガヴラスを父に持つサラブレッド。父親譲りの政治への鋭い考察力と、女性的な独自の視点を同居させ、本作で見事な長編映画デビューを飾った。イタリアの女流作家ドミティッラ・カラマイの『Tutta Colpa di FIDEL』を原作に脚本を執筆、世界で最も著名な革命家であるフィデル・カストロの政治的思想が当時の欧米諸国に与えた影響を、一人の少女の目を通して鮮やかに描き出した。
 70年代、フランス・パリ。弁護士のパパと雑誌記者のママ、やんちゃな弟フランソワと暮らす9才の少女アンナ。満たされた生活、大好きなものに囲まれた完璧な毎日。ところが突然パパとママが“キョーサン主義”に目覚めてしまい、庭付きのお家から小さなアパートメントに引越し、大好きな宗教学の授業も受けられなくなってしまう。仏頂面でめいっぱい怒りを露にするアンナ。けれども、やがて自由や社会のことを彼女なりに一生懸命考えるようになり、大人への第一歩を踏み出していく。(京都シネマ・赤染 芳)
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作品情報

  • 出演:ニナ・ケルヴェル、ジュリー・ドパルデュー、ステファノ・アコルシ、バンジャマン・フイエ
  • 監督:ジュリー・ガヴラス
  • 脚本:ジュリー・ガヴラス
  • 音楽:アルマンド・アマール
  • 製作年:2006
  • 製作国:イタリア・フランス
  • 配給:ショウゲート
  • 時間:99分
  • ジャンル:ドラマ
  • 原題:La Faute à Fidel
  • 公開日:08/03/15
  • 京都シネマの上映情報
コンテンツ企画協力:京都シネマ