/entertainment/00200_cinema_review/00201_/

迷子の警察音楽隊

 カンヌの審査員が恋をした!“一目惚れ”賞。本作は2007年カンヌ国際映画祭において、ある視点部門国際批評家連盟賞、ジュネス賞、そして本作のために映画祭が特別に設けた“一目惚れ”賞(Coup de Coeur)の3冠を勝ち取り、無名の新人監督エラン・コリリンは彗星のようなデビューを飾った。本作が長編デビューとなる34歳のエラン・コリリン監督は脚本家としてキャリアをスタートし、本作でも監督と脚本の両方をてがけている。
 澄み切ったイスラエルの青い空。揃いの水色の制服に身を包み、空港に降り立った一団があった。エジプト警察所属のアレキサンドリア警察音楽隊。イスラエルに新しくできたアラブ文化センターでの演奏を頼まれてやってきたのだった。しかしなんの手違いか出迎えがない。自力で目的地にたどりつこうとするが、着いたのは目指す〈ペタハ・ティクバ〉とヘブライ語で一字違いの別の町〈ベイト・ティクバ〉。ホテルすらない小さな町で偶然知り合った地元民の家で一泊させてもらうことになるが、言葉も宗教も違い、歴史的に対立してきた民族同士。かみ合わない会話、ぎこちなく流れる時間…。しかし、そんな彼らを音楽がつないでいく。
 ユダヤの地にアラブ人が迷い込むという、ともすれば非常に政治的なテーマになってしまいそうな物語だが、本作は音楽を通じてかつて対立していた民族が心を通わせていくという希望と癒しの物語になっている。例え言葉が通じなくとも、信仰の対象が違っても、それでも人は分かり合うことが出来るということを信じさせてくれる物語だ。(京都シネマ・赤染 芳)
twitterでコメント

作品情報

  • 出演:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サーレフ・バクリ、カリファ・ナトゥール
  • 監督:エラン・コリリン
  • 脚本:エラン・コリリン
  • 音楽:ハビブ・シェハデ・ハンナ
  • 製作年:2007
  • 製作国:イスラエル=フランス合作
  • 配給:日活株式会社
  • 時間:87分
  • ジャンル:ドラマ
  • 原題:Bikur Hatizmoret
  • 英題:The Band’s visit
  • 公開日:08/02/09
  • 京都シネマの上映情報
コンテンツ企画協力:京都シネマ