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再会の街で

 はたして人は大切なものを失ってしまった後も生きていくことができるのだろうか?
…もちろん生きていける。本当に問題なのはまさにそのことなのだ。
 2001年の9月11日、沖縄に相次いで上陸した台風15号と16号のニュース映像をただ漫然と眺めていた僕は次の瞬間モニターにくぎ付けになる。突如切り替わった画面の中で世界貿易センタービルが炎上していたのだ。そしてほどなく2機目の旅客機が南棟に突っ込む。しばらくの間、僕はうまく状況をつかむことができずに部屋の中をうろうろする。混乱していたのだ。そしてそれは世界中の混乱でもあった。
 「遠く離れたどこか別の場所ですでに決定的なことが起きてしまう。そしてそれについて僕は何かをしなければいけないと強く感じるのだが、いったい何をすればいいのか見当もつかない」
 そのときの僕の率直な感情を言葉に表すとそうなる。なんだかあんまりばかげているけど。パックスアメリカーナが僕たちにもたらしたものはまぎれもない混乱と混沌だった。その後に続いていくひどいことにはここではふれない。
 あまりにもアメリカは脆く、そして僕たちは弱かった。だけどこの作品はひとつの指標になるかもしれない。映画はコミュニケーションについて描いている。各所で断絶され、分断されたコミュニケーションはそれでも大きな喪失感を抱えた人々のよすがとなるはずだ。問題を抱えた誰かにさしのべられる手、そういうものにぼくはなりたい。スクリーンを彩る80年代のヒットソングのなんと素晴らしいことだろう! (京都シネマ・タニグチマサキ)
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作品情報

  • 出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル、リヴ・タイラー
  • 監督:マイク・バインダー
  • 脚本:マイク・バインダー
  • 音楽:デイヴ・ジョーダン
  • 製作年:2007
  • 製作国:アメリカ
  • 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント
  • 時間:124分
  • ジャンル:ドラマ
  • 原題:Reign Over Me
  • 公開日:08/01/26
  • 京都シネマの上映情報
コンテンツ企画協力:京都シネマ