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舞鶴曜子さん 「きもの鶴」店主

 「きもの鶴」を開店して8カ月になります。御所の南側という場所柄か、観光客の方や外国の人、ご近所さんまで気軽に入ってこられます。しかも着物好きの女性から、着たことがない若い人、初めて見るというアメリカ人など幅も広いのですが、まずは着物を知っていただくことからと思って、毎日着物を着て、店に出ています。

 私自身、帯の織元に嫁ぎながら、着物を着始めたのは35歳くらいからなんです。主人の同窓会に同伴した時、着物を着て行ったんです。そこで皆さんに「素敵やね」「上手にきてはるわ」などと褒められたのがうれしくて。毎日のように着物を着始めたのはそれからです。もっと着物を知りたくて、帯の職人さんを訪ねたり、着物産地を回って糸や織り物、染め物を手にして、勉強しました。
 ある帯の手織り職人さんを訪ねたとき、20色あまりもの染糸を本当に丁寧に一段一段織られる姿に思わず涙が出てきました。この技術を継ぐ人がいないと聞いて、このままでは廃れてしまう。そう思うと、なんとか、多くの人に着物を着てほしい、もっと知ってほしいと思うようになりました。着物産業は厳しい一途ですが、私は着物を着たいと思っている人は潜在的にまだまだいらっしゃると思っています。ただ、機会が見つからないだけなんです。

 今の私にできることをやろうと思って考えたのが小売りの店でした。店には自信をもってお勧めできる私の好きなものばかりおいています。ちょっとしたお出かけや気軽なお茶会、映画や美術館などで着るカジュアルな小紋や紬が中心です。帯締めや帯揚げ、草履にバッグまでお気に入りばかりで、店にいるだけで幸せです。今、52歳。子育てや介護、女性にはいろんな時期がありますが、ほっと自分に戻れる「着物時間」を作ってみませんか?


 舞鶴さんの本日のお着物は、単衣の塩澤紬に紙布織りの帯。シャリ感のある塩澤紬は、涼しげな白地にグレーの細い格子柄、帯には流水模様、帯揚はやさしい水色。黒の帯締めが全体を引き立てています。

きもの鶴