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その名にちなんで

 長編デビュー作の『サラーム・ボンベイ!』でカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)『モンスーン・ウェディング』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いたミーラー・ナーイル監督最新作。
 周囲の偏見とお互いのカルチャー・ギャップを乗り越えて結ばれていくカップルや、辛い過去に決別を告げて新しい愛に漕ぎ出していく女性たちの姿を、力強く描いてきた彼女は、世界有数の女性監督の一人だ。そんな彼女がピューリッツア賞作家ジュンパ・ラヒリのベストセラー小説を映画化。
 長い年月をかけて熟成されていく夫婦の愛、そして、名前をめぐって反発しあいながらも決してちぎれることのない親子の絆の物語を紡いでゆく。
 70年代なかばのカルカッタ、アメリカで工学を学ぶアショークは、美しいアシマと見合い結婚し、ニューヨークに移り住む。やがて誕生した息子に授けた名前はゴーゴリ。『外套』を書いたロシアの作家の名前だ。学生時代にインドで列車事故に遭い、彼の本の切れ端のおかげで九死に一生を得たアショークにとってその名は幸運と奇跡を意味する。事故で死んだはずの父親にとって、その後の人生は恩恵のようなもの。その喜びを息子に伝えたいと思うのだ。しかしゴーゴリ本人は自分の名前を嫌うようになっていた…。
 誰もが親からもらう名前。そこには、それぞれの運命的なドラマが秘められているかもしれない。これは名前をめぐって、親から子への信じられないほど深くて純粋な愛を繊細に温かく描いた、涙と感動の物語。(京都シネマ・タニグチマサキ)
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作品情報

  • 出演:カル・ペン、タブー、イルファン・カーン、ジャシンダ・バレット
  • 監督:ミーラー・ナーイル
  • 脚本:スーニー・ターラープルワーラー
  • 音楽:ニティン・ソーニー
  • 製作年:2006
  • 製作国:アメリカ
  • 配給:20世紀フォックス映画
  • 時間:95分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 原題:The Namesake
  • 公開日:07/12/22
  • 京都シネマの上映情報
コンテンツ企画協力:京都シネマ
この記事へのコメント一覧

“名前”をテーマに紡がれてゆく、ある家族のストーリー。
名前に込められた想いとは、人生の様々な局面において色々な形で現われるドラマのようなものでしょうか。
自分と常に共にある、名前というもうひとつの存在─それは家族や大切な人と自分を結ぶ、きずなのようなものかもしれません。優しい風のようなインド音楽の調べがふっと遠い記憶を運んできてくれるようでした。
自分の名前に込められた気持ちを、大切に抱き続けたいと思いました。

投稿者:奉林さん│ 08年01月24日