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帰ってきた、強いオールブラックス

トライネイションズ2008第5戦 ニュージーランド‐オーストラリア(8月2日、ニュージーランド・オークランド)

author:テツヤ

 第4戦でワラビーズに敗れ、数年ぶりの連敗を喫したグレアム・ヘンリーHC率いるニュージーランド・オールブラックス。ある意味「進退問題」をかけて、ホームのオークランド・イーデンパークで好調ワラビーズに雪辱を期す。会場は超満員だが、「負けるかもしれない」という緊張感に包まれていると、現地からのJスポーツ中継が伝える。ハカは、いつもの「カマテ・カマテ」ではなく、ここぞの時の「カパ・オ・パンゴ」で臨んだ。

 開始すぐ、ABs反則でSOマット・ギタウがPGを決め先制(0-3)するが、すぐにSOダン・カーターのPGで追いつく(3-3)。
 この日のABsは、オフロードパスでつなぐ攻撃をことごとく鋭いタックルで止められた教訓を生かし、カーター、SHジミー・カウワンが陣地を取るキックを効果的に繰り出し、チャンスメイクした。また、苦手のラインアウトも安定。
 前半11分、ABsがキックで攻め込み、ピック&ゴーインゴールに迫るが、ワラビーズ反則でPGを選択。カーターが決め逆転(6-3)。
 続いて17分、カーターが相手陣内深くにタッチキック。ワラビーズボールのラインアウトだが反則で、22メートル陣内でのABsボールのスクラム。そこからゴール正面に展開し、CTBマア・ノヌーが突進。ラックから最後は、PRトニー・ウッドコックが押し込んでトライ(キック成功で13-3)。
 さらに22分、今度はカウワンが相手陣内に絶妙なキックを蹴りこみ、これをFBアダム・アシュリークーパーがまずいキック処理で、ABsラインアウト。LOアリ・ウィリアムズがボールをキャッチするやすぐにウッドコックにパスし、飛び込んでトライ(キック失敗18-3)。
 ワラビーズは、前節威力を発揮したタックルが、キックを多用するABsの攻撃にきかない。しかし、ここで諦めないのが今年のワラビーズ。前半30分、ABs陣内でのラインアウトから、ギタウ→CTBスターリング・モートロックとつなぎ、フラットないいパスにアシュリークーパーが走りこんでトライ(キック成功18-10)。この後、カーターがPGを決め21-10で前半を終了した。前半終えてABsが奪ったターンオーバーが11。キャプテンのマコウ復帰でボール争奪戦に圧倒していることを物語る。

 後半も開始直後からABsが積極的に仕掛ける。42分、WTBシティバニ・シビバツがワラビーズ陣内にタッチキック。ワラビーズがラインアウトをミス。そこからノヌー→シビバツ→ノヌーでトライ(キック成功28-10)。
 ワラビーズは、45分マイボールスクラムからABs陣内で連続攻撃を仕掛けながらも、インゴール目前でターンオーバー。ブレイクダウンの攻防ではマコウが神がかり的なプレーを見せる。
 この後、カーターがPGを2本成功(34-10)。ワラビーズは得意とするラインアウトがことごとく乱れる。81分にはノヌーがダメ押しの4トライ目を決めノーサイド。ボーナスポイントも獲得し、言うこと無しのABs勝利。

 最後までドキドキしながら観戦した。しかし、敗戦から学び堅実に攻めるABsほど強いものはないことを知った。カーターの正確無比なキック、マコウがからむブレイクダウン、苦手のラインアウトもきっちり決めた。ワラビーズは大型FLのロッキー・エルソムの欠場が痛かったが、ミスも多く、何よりも最後は攻め手がない感じだった。強いABsの復活となるのか、アウェーで南アと激突する第6戦も見逃せない。

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August 19, 2008