京都民報

京都歳時記「花のなぞかけ」

季節を彩る草花のなぞなぞです。咲いている場所、花の名前分かるかな?

赤色の素朴さ(答)

花 三椏
場所 銀閣寺疏水 哲学の道
三椏

三椏

 うららかな春の陽ざしと咲き誇る桜を賞でて、哲学の道は思索にふけったという学者の姿など影も形もなく、ひねもす雑踏と化している。
 そんな疏水の岸の片隅に、ごくひかえ目に三椏が淡い黄色で咲いている。花とはいうけれど、この花には花弁がなく、筒状になった蕚(がく)が先端で四裂して、白い毛が密生している。華やかさとは無縁のこの花に陽があたった時、黄金色を放って美しい。香りも好もしい。
 花としてよりは、すぐれた和紙の原料としての方が知られているかもしれない。その繊維は白く軟らかで短く、漉(す)き上げられた紙は強く、美しい。紙幣などの素材として欠かすことができない。日本の高度な紙幣の印刷技術は、ジンチョウゲ科のこの木があってこそのもの。

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