しんいちのライブな日々

早坂紗知ってスゴイ!!

 1度に3本の木管楽器をくわえて演奏するジャズ界の“異端児”ローランド・カーク(1936─77)。「彼を師と仰ぐサックス吹きが京都に来ますよ。早坂紗知‥」。ぶったまげた情報を行きつけのジャズ喫茶でN氏から仕入れた。
 パーカーやコルトレーンをコピーする人間はあふれ、近年のジャズブームで、少しマイナーなプレーヤーの演奏でさえ楽譜で販売されている。ところが、「ローランド・カークをコピーしている」という話は生まれてこのかた聞いたことがない。しかも、女性。しかも、ムム、妻と同じ名(まっ、関係ないか?)。にわかに信じ難い。胸の高まりを抑えパーカーハウスロール(京都市下京区)でのライブに向かった。
 一目見て驚いた。とにかく細い。パワーのかたまりのようなカークのイメージを重ねることはかなり難しい。
 演奏は、バロック風の曲から始まった。ノーマルな音だ(なーんだ)。変化は曲の終わり際から起こってきた。早坂さんの体がくねり、ひずんだ音が顔をのぞかせてきた(ヨ、出てきたゾ)。圧巻はセカンドステージ。ソプラノ、アルトの2本をくわえ豪快にブワーッと吹き始めた。「コレか!!」私をふくめ観客のほとんどは、2本以上の管楽器の同時演奏は初めて見た様。会場はいっきに盛り上がっていく。
 ディープ・インパクトばりの勢いで奔放なアドリブを展開。2馬身ほど空けて、男性のピアノ、ベースが必死で追いかける‥。やっぱりN氏の話は本当だった(やっぱ、信頼できる情報ソースは貴重だ)。気がついたらCDを買っていた。

執筆者:平山