寒椿
冬ざれのすがれた風景の中で寒風にさいなまれて心寂しい時など、路傍の生垣などにはなやかさとは無縁のたたずまいで咲いているこの花には、いじらしささえ覚える。
くれなゐを冬の力として堪えし寒椿みなをはりたり
馬場あき子
冬の間じゅう、紅、淡紅、濃紅などの花が彩りの少ない季節に慰めてくれる。
枝が横にはる低木で、乾燥にも強いので、道路の緑化などにも活用され、よく見ると小さな丸まっこい葉も艶々として寒気の中ではけなげに見える。
「紅乙女」という別名もぴったり。「田毎の月」という呼称も。
新潟地方に咲く寒椿は別種。