京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

シンドイ (しんどい)

 「シンドイ」は、心労という字があてはまる近世初期以来の語である。「シンロー」が「シンドー」と訛(なま)って、形容詞化し「シンドイ」となった。
 外国人が英語でいう「タイアド(tired)」を、疲れてといわずに「シンドイ」と訳した場合は、それを教えた日本人が西日本の在住者であるという話も聞いた。
 雑俳をみると、近世の末期からのもので次のようにでてくる。「をを辛度尻から上る上り口」天保四年(1833)、「にったり笑顔あんたも辛度いおましたか」安政四年(1858)などとある。
 この「シンド(辛度)」は、しんぼう(辛抱)とつながるものであろう。現代でも物価は上るし、ストレスはたまるしの毎日であるが、お互い生活では「ヤレヤレ、今日も終った、アーシンド」などといって辛抱をすることも大切である。そやけど、健康を侵す辛抱には限りがある。