京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

オイド(おいど)

 「オイド」は女房詞が庶民語化したものである。慶長8年(1603)の『日葡辞書』に「オイド(御居処)、尻や臀部(でんぶ)の意」とあるところから、居処(いど)という尻が座りつく意が語源となったといえる。この語は、かなり古くから庶民語となったものと考えられ、その方言分布も広いが、「オイドカケ」という尻はしょりの意は京都的である。  雑俳でみると次のようにでてくる。「さかさまに おいどの並ぶ米洗ひ」享保14年(1729)、「嗜(たし)なまれ お尻(いど)たたいて笑う女房」天保10年(1839)とあり、明治期になると「いつちはあ お尻(いど)ならこの島で」明治16年(1883)とか、「列崩し 割りこまでへこのお尻(い)ど」や「あつさりと お尻(い)ども口も軽い人」明治25年(1892)となる。祗園花街での舞妓の稽古には、「オイド、しっかりオロシヤス」といって腰をすえるのが、京舞のこつという。