京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

モッサリ(もっさり)

 「モッサリ」は、やぼったいとか田舎じみたといった意味をもつ。語源は、「モサリ」が促音化したもので、ぼんやりしたさまをいう擬態語といわれる。現用では、「モッサリした服着たハルワ」とか「いまひとつ、することがモッサリしてるナ」などという。この語は江戸期の寛政ごろからみられるというが、方言分布としては、滋賀、大坂、奈良、兵庫あたりまででさほど広くない。文献としては、元治前後(1864ごろ)の『穴さがし心の内もと』に「こんなもっさりな半衿をくれたが」とみられる程度である。  雑俳でもあまりでてこなくて、明治期となって「もつさりと 京の人とは思はれぬ」とか「もつさりと 牛に乗つてる春の旅」が明治34年(1901)に、「もつさりと洋服に下駄見とむない」明治43年(1910)とでるくらいである。「モッチャリ」ともいうが、語源にある通りあまり使われなくなっていく語かもしれない。