京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

ミタラシ (みたらし)

 「ミタラシ」とは、御手洗(みたらし)だんごの下略をいう。5つの小さなだんごを串で刺し、砂糖蜜をかけて焼いたもの。もとは、醤油をつけて焼いたといわれるが、今日でも塩っぽい味は残っている。名の由来は、近世になって京都の下鴨神社の御手洗祓(はらい)の際(旧は6月、今は7月)に、このだんごを茶店で売ったことによるという。5つのだんごは、水手洗川の泉にわきだす水玉を形どったとか、頭と四肢を表した厄除け人形を意味するともいわれる。このだんご、長持ちはしないが、ちょっとしたみやげともなる。
 雑俳でこのあたりをみてみよう。「みたらしの だんごも5つかぎりぞと」文政4年(1821)という句があるし、明治時代になると「上(かみ)にも下(しも)にも 御手洗(みたらし)売ってある茶店」明治33年(1900)とでてくる。現在でもそうであるが、この「ミタラシ」を売っている店が当時から数軒はあったことがわかる。