京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

ホッコリ (ほっこり)

 「ホッコリ」は、いろいろな意味をもつが、京のことばとしては疲れた後の一休みの意で使う。例えば、「今日は山行きで、ホッコリしたナー」とか「選挙もすんで、ホッコリしたワ」などと使用するのである。しかし、この意での語源ははっきりしないし、使用されるようになったのも江戸も中期以後らしい。
 雑俳の例で追ってみると、「ほつこりと 異見(いけん)に懺悔(ざんげ)女房馴(なれ)」、「ほつこりと ひとり眼(め)の明く二日酔」、「ほつこりと 何ぞのほしい病(や)み上り」などの句が文化元年(1804)になってみられる。これらの「ホッコリ」は、京ことばでいう疲れた後の一休みの意である。興味あることは、現在では「ハンナリ」よりも「ホッコリ」のほうを使用し、理解する人が多いという現状である。これは、昨年に京都府民講座で話をしたときのアンケート結果でもわかった。意外なことばが、生活の中で生きつづけている。