京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

ゴモク(ごもく)

 「ゴモク」は、漢字をあてれば塵介とか五木とか書かれている。その語源は、「ゴミアクタ」が「ゴミクタ」となり、それが「ゴモク」と転略したとみられる。そうなると、意味的には「ゴ」が大切なのであって、芭蕉の『笈(おい)の日記』元禄八年(1695)にある「ごをたいて手拭あぶる寒さかな」という句に連なる。この句の「ゴ」とは松落葉のことで、「ゴミ」の「ミ」とはそのものを意味するものではないのか。昔のごみは、今のようなビニールやポリスチロールではなくて自然に落ちる松葉などの塵介であった。そこから、五木という語もでたのであろう。
 さて、雑俳をみると、「引のけて 水くんで取るごもく川」元禄十四年(1701)や「改めて ごもく場へもう塵捨てぬ」弘化三年(1846)などとでてきて、「ゴモク」の内容が質的に変化していくようすがわかる。なんとしても、街を「ゴモクバ」にはしたくない。