どなたも一度は目にされたことのある「きんとん」です。桜のピンク、若柳の緑、生生発展の気を表現するとともに都を美しく彩る自然の相を小さなきんとんに盛り込んだ定番のお菓子です。
ちなみに都をどりの総踊りの際にもこの意匠の団扇が使われています。
京菓子の特色のひとつに、ものの形をリアルには出さないことがあります。ひとひら(1枚)の桜の花びらをこなしでざっくりと表現したお菓子です。
ふと見ただけでは「何じゃろ」と思うような形ですが、銘を聞いて納得、得心。店頭でも人気の一品です。
薄く伸したういろうの生地を丸く抜いて折りたたんだお菓子で、折り方を変えることで銀杏にもなり、法の袖になり、朝顔になり、折紙を折るような楽しい技法です。
生地が薄く透けますので、中の餡を、漉し餡、粒餡、白餡を着色して、と変えることで襲の色目を楽しむこともできます。尚、少々手間はかかりますが、ういろう自体を何色かに染め分けて、襲たり、合わせたりして楽しむこともできます。
【ういろう】
ういろうと言いますと、名古屋名物の棹物や、水無月を思われる方がほとんどです。また、包んだお菓子を見て、「求肥ですか」とおっしゃる方も多くあります。
求肥はまったく別の生地ですが、棹物や水無月は材料の配合が異なるだけで、米の粉、上白糖、水から出来る、同じ「ういろう」です。混ぜ合わせた米の粉と上白糖を水で伸ばし、火にかけて練り上げ、蒸しにかけてつくります。どちらかというと扱い難い生地で、生地が温かい間しか作業できませんので、手早い仕事が要求されます。五月の「からごろも」もこの生地でつくります。