紫陽花
そぼ降る雨、降りしきる雨の中に浮かび上がる紫陽花は梅雨にあってこそ美しい。
緑色をした蕾から成長するにつれて白、青、壁色、やがて青紫と花色を変化させる。花色は土壌の酸度に影響されますが、最近では花屋の店頭に大ぶりの色も多彩な紫陽が並ぶようになりましたが、ヨーロッパで改良・育成した西洋紫陽花です。しかし花の風情は何といってもひっそりと哀愁さえ帯びて咲く在来種やがく紫陽尽きます。
長崎の出島に住んでこの花を世界に紹介したシーボルトは、この花に「オタクサ」と命名しました。愛した女性・楠木滝(たき)の名をとったのでした。植物学者の牧野富太郎は「和名を勝手に私(わたくし)に変更して、花の神聖を涜(けが)したと批判しています。
紫陽花はアヅ(集)サ(真)イ(藍)の合一した名称で「真の藍色の集まり咲く」こと。
石仏の里としても知られる加茂町にある岩船寺(がんせんじ)は山の気配に包まれて、紫陽花の色もひときわ麗しく、冴えて見える古刹(こさつ)です。