御衣黄桜
御衣黄桜
ほのかに薄桃色の花びらが桜を象徴し、春にふさわしい色合いなのだけれど、身も心も桜色に染まる中、この薄緑色を帯びた桜を見るとそれもまた捨てがたい。
変異種に富み、豊富な遺伝形質を持っており、里桜の大多数を作り出したオオシマザクラの系統として生まれたという。
初めて出会ったのは、狭い境内ながらさまざまな花木があふれる雨宝院でのこと。そして夜桜が濃密な情緒を醸し出す平野神社でもたった一本、本殿の左手に咲いていた。右手には枝垂れ桜が咲き誇っていた。
遅咲きの八重桜なので、日を置いて訪れてみると薄緑色の花の中心部が紅紫色を帯びていた。花びらにかすかに紅色の線が入っている。花の終りが近いことを教えていた。
花は花びらとしてではなく萼(がく)をつけて散る。