提訴するため京都地裁に向かう原告ら住民と弁護団(11月6日、京都市中京区)

宮城泰年門主をはじめ周辺住民12人が原告に

 京都市左京区の門跡寺院で、本山修験宗の総本山・聖護院の真正面で建設中のマンション計画が景観法などに違反するとして、宮城泰年門主ら周辺住民12人が11月6日、建築確認を行った民間検査機関「日本ERI」(東京都港区)と建築確認を適法と判断した京都市建築審査会を相手取り、建築確認の取り消しなどを求めて京都地裁に提訴しました。住民らは「五山の送り火『大文字山』を望む景観や住環境を守りたい」と訴えます。

 訴状などによると、建設地(約3000平方㍍)を所有する真宗大谷派(東本願寺)と三菱地所レジデンスが定期借地契約を締結。地上5階建て(高さ15㍍)、80戸のマンションが建設中です。

広告で「大文字を居ながらにして堪能」

一帯は、低層の住宅が並び五山の送り火「大文字山」を望むことができる地域。「山並み背景型美観地区」にも指定されています。ところが、マンション事業者は、住民が大切にしてきた景観を「売り物」にし、広告で「バルコニーから東山・大文字を居ながらにして堪能」できるなどとアピール。バルコニーからは隣接する住宅や聖護院を見下ろし、のぞき込むことになります。

事業者側が作製したマンションの模型。手前が北側で、バルコニーは聖護院側に設置されています

 

事業者のマンションの広告(ホームページ)では、「バルコニーからは東山・大文字を居ながらに堪能」、「東山・大文字の山並みを一望」できるとアピール

 原告側は、美観地区では中高層建築物は「周辺の圧迫感の低減」が求められているにもかかわらず、完成予想図は実態と異なり、マンションとの外壁と隣地境界線との間隔は約1㍍しかないと指摘。建築確認は違法と訴えています。

 提訴後に行った会見で、上妻ガクジさん(72)は「毎年8月、自宅の2階から家族で大文字送り火を見ることを大事にしてきた。それができなくなる」と悔しさをにじませました。

 住民らは2023年6月に「聖護院・黒谷の景観を守る会」を結成。景観や住環境の悪化、宗教活動への影響などから計画の見直しを求め、粘り強く署名運動などに取り組んできました。昨年6月には、審査請求人200人を超えて、市建築審査会に対して建築確認の取り消しを求めたものの、今年6月、請求は棄却されました。