「レンギ」といってもわからなくなった人も多いが、すりこぎのことである。 語源は、唐音のライキ(木)の訛音といわれる。慶安3年(1650)の『かたこと』に「摺胡木(すりこぎ)」といふこと葉を、女のわらはのにくみて、れんぎなどいふもおかし」とあることから、当時すりこぎのことをれんぎといっていたことがわかる。となると、すりこぎが古くてれんぎが新しく、また現在は、すりこぎとなったことがわかる。「日本言語地図」によれば、この語ほど方言として東日本ですりこぎ、西日本ではれんぎと分かれるのは珍しい。 雑俳では次のようである。「かえてくる れん木をみそに八瀬のかか」正徳3年(1715)、「むつまじい ひょく(とり合わせがよい)雷木(れんぎ)にすり鉢じゃ」天保4年(1833)そして「ちくちくと 木(れんぎ)一本買替にや」明治25年(1892)となる。東日本のすりこぎが、共通語化してれんぎをおい消したといえる。