京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

カンテキ(かんてき)

 「カンテキ」とは、七輪(ひちりん)とか焜炉(こんろ)のことをいう。江戸期の風俗誌である『守貞漫稿』嘉永6年(1853)に「瓦器売、京阪かんてきと云。火炉、かんてきはかんへきの訛か」とある。しかし、語源は定かではない。「カンテキ」という語がでてくるのは、江戸後期の天明から寛政期(1781~1800)といわれる。ただ、東日本と西日本の相違については、「東京京阪言語違」明治19年(1886)にかんてき(京阪)、ひちりん(東京)」とある。  雑俳でみると、「ひまが入 かんてきおこす酒の燗(かん)」天保4年(1833)、「よいぞよいぞ かんてきの下扇止(や)め」天保15年(1844)とあり、明治期になると「世話(せわ)しない 替へて大ばちとかんてきと」とか、同じころ「レコ次第 大爐(こんろ)もちやんと寺主僧(おぢうぢ)が」明治16年(1883)となる。どちらにしても、「カンテキ」という語は短命といえるのではないか。