京都民報

京のことば

今ではあまり聞かれなくなった京ことば。京ならではのことばと意味を紹介します。

木村恭造(「京のことばを残す会」助言者)

チンマリ(ちんまり)

 「チンマリ」は近世初期以来のの語といわれ、程よく小さくまとまっているさまをいう。語源は「チヂマリ」(縮まり)が撥音化したものか。慶安3年(1650)の『かたこと』に「ちいさき物を、ちんまり」とあるし、貞享3年(1686)に書かれた『好色五人女』に「三条の西づめに、ちんまりとした座敷かり」とある。京では、「チンマリした喫茶店ヤナア」とか「年金生活でも、チンマリ暮らしたハルエ」といったように使用する。この「チンマリ」の方言分布は意外と狭く、京都市周辺部でもほとんどみられない。  雑俳によると、「うらみが有りてちんまりと寝る」寛政8年(1796)、「ぬくぬくと ちんまりした処(とこ)で住む」天保10年(1839)とか「ちんまりと 何時(いつ)脱ぐ下駄も誉る母」明治36年(1903)などとなってでてくる。そして、この「チンマリ」に「コ」がつくと、「コヂンマリ」となってその意味を強めることとなる。