蕨(わらび)粉も葛粉も純度の高い良質の澱粉(でんぷん)ですので、生地として使うだけでなく、そのものを食べても充分美味しく、お菓子になります。蕨餅はおなじみですし、葛焼、葛切、葛そうめん、葛団子など楽しめます。
葛焼は葛、上白糖、水、漉餡を練り合わせた生地を蒸しあげ、冷めてから上用粉をまぶして焼目をつけたお菓子です。焼目のついた葛の肌が侘(わ)びた風情を感じさせます。
京菓子では数少ない、物そのものを形づくったお菓子です。
こなしが白餡、芯は漉餡で、白小豆と小豆の風味が混ざり合って、また別の風味を生んでいます。
頭につけた小さな丸は、里芋の子芋です。焼印を筋状に焦がしてつけた焼目で、土のついた感じを出しています。
たおやかに伸び広がった萩の枝、小さな楕円形の葉の間に紅や白の花が彩りを添えます。
きんとんはお菓子の基、“餡”の味がそのまま出ますので、丹波大納言の風味と白小豆の風味だけで勝負するお菓子。菓匠にとって、自信作と言えばそうなのですが、一番こわいお菓子です。
素材の小豆の味プラス各店の餡づくりの丁寧さがはっきり出ます。きんとんばかり食べ比べてみられるのもお菓子好きの方なら楽しいと思います。